初めての喧嘩…<あき桜> 前編
<桜子side>
私とあきらさんは、今までに喧嘩をした事が無かった。
それなのに、何気に言った私の一言に、急に怒り出したあきらさん。
私は訳が分からなかった。
そんな、ある日のあきらの休暇日での一幕…。
「ねぇ、あきらさん‼」
「う~ん、何だ?」
少し、甘ったるい雰囲気を醸し出した頃…。
「ここ最近、静かですね?」
「………、どういう意味だ?」
「道明寺さんと先輩・西門さんと優紀さん。
大人しくありません?」
「良い事じゃねぇの?
俺らの時間が出来て、俺は嬉しいけど…。
桜子はちげぇのかよ?」
あきらさん、不機嫌丸出し何ですけど…?
「そうじゃないですけど…。
私も皆が上手く行っているのは嬉しいですよ…。
でも…な~んか、違うような気がするんですけど…?
胸騒ぎがすると言うか…。」
あきらは席を立って、不機嫌さを隠さず、出て行こうとして言った。
「桜子がその気なら、もう良いわ。
勝手にしろよ‼」
「………、えっ??
えっ~~。」
一瞬、呆気に取られて、訳が分からなかった。
何故、怒っているの??
<あきらside>
俺は、桜子の言葉に、切れた。
そりゃ、年がら年中、今まで、あいつらの面倒は見て来たよ。
でもな、それは、有難くない不名誉では有るが、『仲間思いの気配り上手』の俺らだから、出来た訳で…。
本来なら、しなくて良いなら、したくねぇって‼
桜子と一緒に居たい俺の気持ちを踏み躙りやがって…、桜子のヤツ!
で、気が付いたら、メープルに来てたらしく、目の前に司が居た。
メープルしか来る所がねぇって…、どうなんだよ。
「よぉ、あきら‼
って、お前一人か?
珍しくねぇか?」
「はぁ??
一人に成りてぇ時も有んだろ?」
司は勘づいた。
「三条となんか、有ったんか?
珍しいな、お前らが喧嘩って‼」
「うるせ~~‼」
「話し聞いて遣るよ。
今日、俺、終わりなんだよ。
つくしと会う予定だったけどよ…、お前に遣るよ、時間。」
「はぁ~??」
あきらは、“上からかよ。”って、言いたかった。
“何時も騒ぎを起こしてるのはお前らだろう。”…と、言いたげだが、今日は、何も言えなかった。
司の優しさが分かったからだ。
「つくしを三条の所へ行かせれば良いだろ?
取り敢えず、総二郎も呼んだ方が良いだろ?
バーに行くぜ‼」
俺は、司に引っ張られるように連れて行かれた。