忘れていた気持ち…<つかつく> 5.
<司side>
あいつが、働いて居る会社に、プロジェクト会議を遂行する様に連絡を入れた。
「明日、プロジェクト会議を遂行したい‼
予定を頼んだ‼」
“賜りました。”
「後、其れから…。
専務の第2秘書が、優秀だと、聞いた。
うち(道明寺HD)との仕事の間、俺に就かせてくれ‼
大阪の事は、分かって居る様で、分からねぇ所も有る。
なので、俺の世話役に就けてもらいてぇ‼」
“賜りました。
専務に、申し伝えさせて頂きます。”
此れで、取り敢えず、あいつも、プロジェクト会議には、出席してくるだろう。
勿論、プロジェクト会議は、あいつの会社で行う。
俺が、あいつの会社に行く等、普通は考えられねぇだろう?
しかし、例え、うち(道明寺HD)で、会議を遂行したとしても、あいつが居ねぇんじゃあ、意味がねぇんだよ。
別に、あいつの会社じゃねぇと行けねぇって、訳でもねぇ。
唯、あいつが、俺には、必要なだけだ‼
だから、じわりじわり、あいつを追い詰める為に、俺は、此の会社と提携打診してんだ。
あいつを俺の手元に入れ込んだ後は、将来的には、あいつが、現在、勤めてる此の会社を傘下に入れる予定では有るが…。
<つくしside>
またもや、専務に呼び出されていた。
嫌な予感しかしなかった。
そして、私は、専務の部屋の前に来ていた。
【コンコン】…つくしが、ドアをノックした。
「牧野です。」
「どうぞ、入ってぇ~。」
入って直ぐ、専務は、上機嫌で、私に対面していた。
「つくしちゃんに頼みが有んのよ‼」
如何も、私の嫌な予感は的中したらしい。
「如何言った用件でしょうか?」
専務は、笑いながら、言って来た。
「つくしちゃん…(笑)。
そんな怖い顔で、私を見んといてよ?
言い辛いやろ?」
私は、まだ、内容を聞いた訳じゃないけど…。
一応、謝った。
「申し訳ありません。」
其処で、専務は、話しを進めて来た。
「でね、例のプロジェクト、本格的に始動するらしいんよ。
その相手企業の支社長さんからなぁ…。
つくしちゃんを、“お世話役に就けて欲しい‼”って、打診が有ったらしいんよ。
今度は、お見合いとちゃうから、ええやんねぇ?
仕事やし…。」
私は、心の中で、溜息しか出なかった。
“はぁ~⤵。”
けど、これも、私にとっては、仕事‼
だから、受け入れるしかなかった。
「承知しました。」
専務は、間髪入れずに、話しを繋いできた。
「ほな、明日、会議やねんて。
其のつもりで居って(おって)なぁ。」
「………」
私は、専務に、何も言えなかった。
そして、次の朝、プロジェクト会議が始まるまでに、会議室を準備して、余念がない様に、整えて、一旦、会議室を後にしていた。
そして、私は、プロジェクトが始まる時間までには、会議室に入り、一番後ろの席で、先方様が、入って来られるのを、じーっと、待って居た。
そして、私の眼は、『目が点』に成ってしまった。
此れは、如何言う事…?
現在の道明寺HDの支社長は、確か、道明寺HDの役員の筈…?
如何して、道明寺が此処(つくしの会社)に居るの?
如何しても、分からなかった。
私は、プロジェクト会議中、殆んど、頭に何も入って来ない程、動揺してしまっていた。
私は、心の中で、叫んでいた。
“頭にスーッと、何も入って来ない。
如何しよう‼”と…。
普段の私からしたら、有り得ない事。
会議中に、全ての事を把握する事は、秘書の勤め…。
其れが、何も入って来ない何て…。
それ程、私は、動揺していた。
後で、分かった事だったのだが…。
専務は、道明寺HDの初回の担当者は、『支社長』だと、認識していたらしい。
『副社長』と、聞いて居れば、“此の件は、断って居たかも知れないのに…。”と、心の中で、叫ぶしかなかった私が、其処には居たのだった。
<司side>
俺が、会議室に入って来た時のあいつの驚愕した顔は、面白かった。
瞼が見開き、瞳(め)が、落ちて来そうな程に成ってんぞ‼
まあ、無理もねぇだろうな?
予期してねぇ事だろうから…な。
で、初回のプロジェクト会議の終了後…。
俺は、社長から、あいつを紹介された。
『俺の女』、何だから、良~く知ってんだが…な。
「道明寺副社長…。
此方が、私共の秘書課の牧野と申します。」
で、あいつに俺は、紹介された。
だから、俺は、あいつと、“打ち合わせしてぇ‼”と、言って、社長には、席を外させた。
丁度、西田は、社長の秘書と、今後の日にちの遣り取りで、席を外して居たので、良いタイミングだった。
で、社長が、退席をした後、俺は、会議室の部屋のドアのカギを閉めて遣った。
あいつは、会議後の後片付けをして居る様で、俺の動きには、気付いて居ねぇ様子だった。
だから、俺は、あいつに近付いて、声を掛けて遣った。
「久し振りだな‼
元気だったか?」
あれからも、SPをあいつに就けてんだから…。
あいつの動きは、何もかも、知ってんだけど…な。
一応、そう言って、つくしに声を掛けて遣った。