忘れていた気持ち…<つかつく> 15.
<つくしside>
そして、其れから、半月が経った頃、私が、勤めている会社に、司のお母様 道明寺HD 社長が、お見えに成り、私は、社長室に呼ばれて居た。
司のお母様との久し振りのご対面に、何故か、嫌な予感しかしなかった。
けれども、それは、杞憂に終わった。
社長から、話しが有った。
「牧野君…?
道明寺HD 社長の御子息と、現在、お付き合いして居る様だね?」
「えっ??」
私は、司のお母様の方に顔を向けた。
司のお母様は、私に頷いて来た。
私は、“返事をして良いって事だよね?”と、思い、正直に答える事にした。
「はい。
お付き合いさせて頂いて居ります。」
で、司のお母様が、口を開いた。
私は、飛んでも無い言葉が聞こえて来て、我が耳を疑った。
「そういう事ですの?
私共の嫁に成りますので、本日付けで、退社手続きをお願い致しますわ。
御社には、私共の嫁を育てて頂いたんです。
其れ相当の事をさせて頂きますわ。」
社長の顔付きが変わった。
何という事だろう?
“此れで良いのか?”と、我が耳を疑う様な言葉が、社長からも聞こえて来た。
「承知しております。
今後共、弊社を宜しくお願い致します。
牧野君、此れからは、副社長の奥様として、宜しく頼むよ‼」
司とは、そんな話しには成って居ないので、“はい。”とは、返事が出来ず、ニコっと、笑うだけに止めて置いた。
で、何故か?
私は、その日の内に、司のお母様とご一緒に大阪を出発して、道明寺邸での暮らしを、司のお母様より、指示されていた。
「つくしさん、覚悟は在るって事で宜しいのよね?
で在る成らば、当然、司との結婚も視野に入れて居るんでしょ?
じゃあ、この1年の間に、(道明寺)邸で暮らしながら、レッスンをお受けなさい‼
宜しくて⁉」
そう言われてしまえば、何も言えず、返事だけを返した。
「はい。」
「其れと、詳細は、タマに伝えて居るので、タマにお訊きなさい。
其れと、司には、まだ、言わないで頂戴‼
今、司は、マンション暮らしなの。
少しは、反省させなきゃ成らないから、其のおつもりで‼」
此の親子の間に、何が有ったかは、私には分からないけど…?
“相変わらずだな⁉”と、思う寄り他無かった。
で、お邸に着いて、タマさんと久し振りの再会に涙が出て止まらなかった。
「心配ばかり掛ける娘(こ)だよ。
全く、此の娘(こ)は…?」
「すみません。
これからも、宜しくお願いします。」
「はいよ。」
タマさんと私は、暫くの間、抱き締め合いながら、涙で溢れ返っていた。
で、その日の夜…。
エリカにTELを掛けて、東京に戻った事を伝えた。
エリカからは…。
「ええ加減にしてやぁ~?
でも、つくしにも恋愛出来たって事やんなぁ…⁉
ほっとしたわぁ~。
ほな、また、会おなぁ‼」
と、言ってもらえた。
私は、エリカに会いに、また、大阪に遊びに行く事を約束していた。
次の日には、椿お姉様が、司のお母様に、私が東京に戻って来た事を聞かれた様で、帰国して帰って来て下さった。
そして、タマさんを交えた4人で、女子会と成った。
司のお母様からは…。
「もう、私(わたくし)達は、家族よ‼」と、仰って頂けた。
また、椿お姉様からは…。
「つくしちゃん…。
やっと、私の妹に成ってくれるのね‼
司の事を宜しくね‼」と、仰って頂け、私は、涙が止まらなかった。
また、司は、私が、道明寺邸で暮らして居る事を、未だ、知らなかった様で…。
大騒ぎに成っていた。
司のお母様が、私がお世話に成って居た、大阪の会社の社長に…。
「息子から、つくしさんの事を訊かれても、つくしさんは、“退職した。”と、お伝えに
成って下さい。」と、言って居た様だった。
で、お邸に居た私と、鉢合わせに成った司は、吃驚したという訳…‼
かなり、司は、怒っていた様子だった。
「あの、くそババア~」と、叫んでいた。
で、其れから、数日後…。
F3&T3と、再会した私は、皆に、不義理を詫びた。
「本当にごめんんさい。」
で、全員、私が、もう、皆の前から居なく成らない事を条件に、許してもらえた。
花沢類は、かなり、拗ねてたけど…。
で、滋さんと桜子から、“関西弁を話しして欲しい‼”って、言われたけど…⁉
司が、言わさない様に仕向けていた。
「つくしの関西弁は、もう、喋らねぇらしいから、お前等は、そのつもりで居ろ‼」
でも、其処は、西門さんと美作さん…。
司を揶揄って居た。
「どうせ、司だけで、楽しみてぇんだろ⁉」
「まあ、司らしいちゃあ、司らしいわな?」
花沢類に関しては、私を不憫に思ってくれていたみたいだった。
「牧野は、可哀想だよね。
自由を束縛されてるよね?
俺も、牧野の関西弁、聞いてみたかったなぁ~‼」
司は、即答していた。
「類には、ぜってぇ、聞かせるか‼」
「何でだよ?」
類は、司の其の言葉に不貞腐れて居たけど…。
で、私と言えば…。
F3&T3の前で、司から宣言され、強要されていた。
「つくしが、関西弁を喋る時は、俺の前だけだ‼
お前等、覚えとけ‼」
私は、溜息しか出なかった。
“はぁ~⤵。”
で、司と私は、1年後に、婚約発表して、そのまた、1年後には、結婚した。
何か、怒涛の様な2年だった様に感じる。
此れで、私は、『道明寺つくし』としての第2の人生がスタートした。
因みに、未だに、私は、司から、関西弁を強要されている。
「まあ、ええねんけど…なぁ~?」
fin