1season女…<あき桜> 6.
<あきらside>
総二郎から、声を掛けられた。
「で、あきらは、此れから、如何するつもり何だ?」
「………」
俺は、言葉が出なかった。
考えてねぇ訳じゃねぇけど…。
桜子の気持ちも聞いてねぇのに、先走りする事を躊躇していた俺が居たのは、事実だった。
俺が、何も答えねぇで居ると…。
司が、俺に声を掛けて来た。
「類が言って居る事が本当なら…?
あきらは、“三条に惚れてる‼”って、意味だよな?」
類は、不貞腐れて、司を見ていた。
で、俺に問いかける様に、類は、言葉を発していた。
「だから…。
本当だって…‼」
総二郎が、俺に言わそうと、類を制止し始めた。
「分かったから…。
類は、黙っとけって‼」
類は、口を膨らませて、不貞腐れて居た。
で、類は、ソファに寝転び始めた。
で、俺は、司の追及を受けていた。
先ずは、司から、聞かれていた。
「なぁ、あきら…?
お前、今まで、マダム相手にして来たよな?
けど、三条は、年下だ‼
あきらの中で、想定外の年下の三条に惹かれた訳は…?」
俺は、司の問いかけに、漸く、俺自身の気持ちに理解出来た。
「そうだよな⁉
けど、桜子と、一緒に居て、嫌じゃ無かった。
其れよりも、俺と桜子だけの二人っきりの空間で一緒に居ても、違和感も無ければ…。
返って、居心地が良かったんだ。
何て言うか?
素の自分自身で、桜子と喋れたというか?
自分自身を偽らなくて良い心地良さが在ったって言うのか?」
俺は、一呼吸置いてから、また、話しし出した。
「桜子と一緒に居ただけで…。
今までの俺は、マダムの前では、良い男で居ようと、“格好良い男を演じて居たん
だ‼”って、思えた程だったんだ‼
それ程、俺は、桜子と一緒に居て、飾って無かったって、気付けたんだよ‼
高校の頃に、付き合ってた年上の女から、言われた事が有ったんだ‼
『おばさん少年』って…な。
後、『若年寄り』って、言われてた事も有ったな。
ラブリーな母親に、双子の妹達…。
年がら年中、母親のラブリー度に疲弊したり…。
使用人の人出が足りねぇ時は、妹達の面倒を見たり…。
俺は、家庭環境のせいにしてた。」
また、一呼吸置いてから、俺は、話し出した。
って、言うか?
喉が、乾き切った状態だった。
だから、バーボンを少し、口に含ませてから、喋り出した。
「俺は、“年上の女が、俺には、合ってる‼”って、勝手に、思ってた。
でも、今日は、桜子と一緒に居て、其れは、違ぇのかも知れねぇって、思えたんだよ。
年下でも、“其の女の人間性、何だな‼”って…。
今日、桜子を見てて、思ったんだわ。」
俺は、嘗て、そう、牧野が、“まだ、司の事を好きだ。”と、気付いて居なかった頃…。
俺に合うのは、“牧野みたいな女なのかもな?”と、思って居た頃と同じ感情が、“桜子でも感じた‼”と、思えていた。
司が、牧野を好きな事が分かって居たから、俺は、気持ちにセーブした。
しかし、“今度は、セーブしなくて良いんだよな?”と、密かに、思えていた俺だった。
.
総二郎は、俺のそんな想いに、納得して居る様子だった。
「成程な。
今なら、俺も、あきらの気持ちは、分かるぜ‼」
「ああ。
そうだな。
総二郎も、本気の恋を知って、分かったんだろ?」
「まあ…な。」
今なら、俺も、総二郎の気持ちは、手に取る様に分かって居た。
だが…。
俺の気持ちが、桜子に通じねぇと意味がねぇんだよ。
だから、司が、聞いて来たんだろうな?
「で、あきらは、これからを如何すんだ?
三条に告白すんのか?」
其れが、出来れば…な。
何せ、今日の今日…。
桜子と、二人っきりに成れて、分かった気持ち何だよな?
其れを桜子に押し付けて告白した処で…。
正直、素直に取ってくれるとは、とても、思えねぇよな?
だから、内心、そわそわ何だよな?
桜子は、俺の想いを理解してくれるだろうか?
冗談と取らねぇだろうか?
不安が入り混じって居たが…。
司に言われた言葉が、妙に、心にどしんっと来たんだよな?
司から、言われた言葉とは…。
「なぁ、あきら…?
言わねぇで、後悔する寄り…。
言って、スッキリする方が良いんじゃねぇのか?
『ダメ元』…って、有るだろ?
三条の気持ちが分からねぇからって、諦めてしまって…。
もし、三条が、あきらの事を意識し始めてたら、如何するよ?
遣れるだけ、遣ってみろよ?」
“そうだよな?
司は、そういう性格だよな?
けど、始まったばかりの俺の恋心…。
後悔する位ぇなら…。
言って、後悔しても一緒か?
じゃあ、言ってしまおうか?”と…。
この時の俺は、真剣、そう考えて居た。