好きなのに…(続編)<総優> 14.
【恋人 編】
優紀はお稽古が有る日は如何しようか、悩んでいた。
お稽古に行くなら、西門邸に行かなければいけない。
そうなれば、当然、総二郎も居る。
桜子に相談を持ち掛けた。
桜子は事投げに言って見せた。
「そんな事は簡単ですわ。
お祖母様から家元夫人にご連絡して頂きますわ。
お祖母様も優紀さんの味方ですから…。」
優紀は恐縮していた。
「ご迷惑をお掛けしてしまうのが…。
申し訳ないし…⤵。」
桜子は優紀の不安を取るように言った。
「大丈夫ですよ。
優紀さんは大船に乗ったつもりで居てくれたら良いんですよ。」
その後、桜子のお祖母様から話しを聞いた家元夫人は、三条邸でお稽古をしょうと提案して来た。
勿論、桜子のお祖母様も桜子も了承した。
家元夫人は優紀の気持ちが総二郎から離れるのではないかと、不安になっていたので、優紀に許しを請うつもりで話しした。
「優紀さん、総二郎の事、ごめんなさいね。
親の私(わたくし)が言うのも何だけどね、総二郎は優紀さんに捨てられたら、生きて
はいけないと思うの。
頃合いを見て、許して遣ってくれない?
総二郎を見捨てないで頂戴ね。」
優紀は家元夫人にそんなに心配を掛けているとは知らず、家元夫人に詫びた。
「家元夫人、ご心配をお掛けして申し訳ございません。
総二郎さんから、離れる事は私にも出来ません。
でも、総二郎さんと一緒に居る日々が長く成れば長く成る程、お互いの気持ちを理解し
ていけたらと、思っているんです。」
家元夫人は優紀の気持ちが聞けて、“ほっ”と、していた。
「そうよね、それは凄く大切な事よね。
優紀さんに別れる気持ちが無いと分かったので、優紀さんに協力させてもらうわ。」
家元夫人の言葉に優紀も、“ほっ”と、していた。
「有難うございます。
宜しくお願い致します。」
「では、当分の間、三条邸でお稽古をさせてもらえるよう、三条の大奥様に改めてお願い
させてもらうわ。
もう少し、三条邸でお世話になるのよね。」
「はい、そのつもりです。」
「分かったわ。」
家元夫人は、三条の大奥様 と 優紀の両親にも謝りの連絡を入れていた。
三条の大奥様には…。
「大奥様、この度は、優紀さんがお世話になって申し訳ございません。
また、ご心配をお掛けして申し訳ございません。」
「いいえ、お構いなく…。
でも、総二郎さんは如何しようも有りませんね。
『女たらし』の汚名を受けていたとは思えませんわね。」
家元夫人は、居た堪れなかった。
「恐れ入ります。
申し訳ございません。。」
三条の大奥様は、総二郎の事で、怒っていらっしゃると、家元夫人は、察知した。
「優紀さんは私(わたくし)の孫同然。
しっかり、お預かり致しますわ。」
「有難うございます。
宜しくお願い致します。」
また、優紀の両親には…。
「この度は、総二郎が不甲斐なく申し訳ございません。」
優紀の両親も優紀の起こしている行動を詫びた。
「いいえ、優紀も辛抱が足りないようで、申し訳ございません。」
家元夫人は、優紀の両親の気持ちが聞けて、“ほっ”として、提案を持ち掛けた。
「取り敢えず、様子を見たくありますが、宜しかったでしょうか?」
「家元夫人が、そう仰って下さるようでしたら、私共には異論はございません。
宜しくお願い致します。」
優紀の両親のこの言葉には、再び、“ほっ”とした、家元夫人で有った。