友達でもなく、恋人でもない…<つかつく> 3.
<司とつくしの会話で、初めの頃の会話の記載は日本語表記になっていますが、英語で会話していると認識して頂けましたら、幸いです。>
道明寺家にはつくしが着用予定のドレスを伝えていたので、司は見付け出し、つくしに近付いて来た。
つくしは、余りにもドキドキが止まらないので、ニコっと笑っている振りをして、口元に手を持っていったりしていた。
その仕草に、今までどんな女性にもつくし以外には、魅力を感じた女性は居なかったのに、司は、ドキッとしてしまった自分に呆れてしまっていた。
しかし、近付いて見てみれば、雰囲気が余りにもつくしそのもの、また、つくしの香りがこの女性からもして来る事に違和感を覚えた司は覚悟を決めて、つくしに窯を掛けてみた。
「あなたに似た女性を私は知っているような気がするのですが…。
どちらかで、お会いした事は有りますか?」
つくしは、“ヤバい、バレてる?”と、警戒し始めた。
「いいえ、無いと、思います。」
司は、例え英語でも、『人間そんなに喋り方の癖は変わらない。』と、踏んだ通り、声も喋り方もつくしそのものだった。
今はパーティーが優先。
取り敢えず、今は騙された振りをして於いた。
しかし、つくしと分かってしまった司は、つくしにこの後の約束を取り付けようと、企んでいた。
「この後、お時間は如何ですか?」
「今日は、帰らせて頂きます。」
「少しくらいなら、付き合ってもらえませんか?
ミッシェル、あなたともう少し、お話ししたいと思うのですが…。」
つくしは行けば、自分がつくしで有る事がバレると踏んだので、必死でお断りをしていた。
司は、余りにも必死で断ろうとする仕草に、“自分自身がつくしで有ると公表しているようなものだ…(失笑)。”と、心の中で笑っていた。
そんな事を司が思っているとは、露程も思っていないつくしは、如何しようかと、考えが纏まらないでいた。
しかし、パーティー後、無理矢理、ラウンジに連れて行かれたつくしは、ゴシップ誌に写真を取られている事にも気付いて居なかった。
司は気付いて居たが、反対に此方から公表したいくらいなので、気付いて居ない振りをして於いた。
司とつくしは、ラウンジでは司の経営者側の特権でVIPルームに入れた。
司は始めの内は、騙されている振りでつくしを安心させて居たが、頃合いを見て、司は仕掛け出した。
「なあ、つくし、そのドレス、似合ってるな‼」
司は、日本語で優しい笑顔と優しい話し方でつくしに語り掛けた。
つくしは、この状態に慣れて来ていたと言うのも有るのだが、つくしにだけ向けていてくれた高校生の頃だった司の対応そのものに何の違和感もなく、自然に、日本語で答えてしまっていた。
気付いた時には万事休すだった。
「そう、有難う‼」
司は、笑い転げるしかなかった。
「やっぱり、つくしだったのか?」
つくしは、“遣られた。”と、思っていたが、後の祭りで在った。
「何時、気付いたの?」
「最初から…。」
「はぁ~、何で??」
「この俺がお前の匂い、忘れる訳ねぇだろ‼」
「はぁ~、何それ??」
「それにお前の声と喋り方、俺が忘れると思っていたのか?」
「………」
つくしは、“しまった。”と、思うしかなかった。