好きなのに…(続編・その後)<総優> 10.
【家族 編】
<総二郎side>
俺も30歳になって来ると、家元襲名が近付いて来た。
それと同時に俺の家元としての仕事が増えて来た。
だが、その増え方が異常過ぎだ。
“可笑しい…。”、 “可笑しい…。”、と、思っていたら、如何も、親父が俺に仕事を回してやがる節が有った。
優紀が急に、言い出した言葉にヒントが有った。
「ここ最近になって、お父様が、優一郎にお稽古を付けて下さっているの。
優一郎も楽しんで居る様なの。」
ははん、親父が…か。
俺は親父に窯を掛けて遣った。
「親父、ここ最近、優一郎に稽古を付けてくれてるらしいな。」
「ああ、優一郎はあの年で、中々のセンスをしておる。
先が楽しみだな。」
「じゃあ、親父の仕事は、如何なってるんだ?」
「………」
やっぱりな…。
いい加減にしろよ‼
俺も親として、優一郎に稽古を付けて遣りたいんだよ。
何で、親の俺を差し置いて、親父が稽古を付けてんだよ?
俺にもしてねぇ事を…。
そんなに孫は可愛いか?
じじバカぁ~‼
親父が提案して来た。
「あのな、総二郎、私が優一郎に、このまま稽古を付けてはダメか?
優一郎の呑み込みが早くてな、教え甲斐が有るんだよ。
楽しくて、仕方ないんだよ。
如何だ、ダメか?」
俺と優紀の息子(こ)何だよ、呑み込みが早くて当然だつっ―の‼
「………、俺にもしてなかったのにかよ?」
「そう言われてしまっては、元もこうも無いが…。
先の楽しみを見続けたい、じじとばばの夢だ。」
「はぁ~、お袋もって事かよ??」
「ああ、二人で稽古を付けてる。」
「じゃあ、仕方ねぇな。」
「そうか、そう言ってもらえると嬉しいよ。」
「………」
親父が俺に今まで言った事の無い様な言葉を言って来た。
俺が結婚して、子供が出来た事で、この家の雰囲気が完全に変わって来た。
あんなにバラバラだったのにな…。
ほんと、こんなに、穏やかだったか、この家?
優紀と優一郎と光紀のお陰だな‼
これからも、この家を穏やかにしてくれよ、宜しく頼むな‼
俺の愛すべき家族達‼