好きに成ってしまった訳…<あき桜> 20.
<あきらside>
あきらは桜子を呼び出し、父親に言われた事を相談していた。
「あのな、親父から、“三条家に挨拶したい。”と、言われたんだけど、如何だろうか?」
「えっ??」
普通、そうなるわな⤵。
「実は、隠しても仕方ねぇから言うけどな…⤵。
親父から、1年半程前に、言われてた事が有んだよ⤵。」
「………」
「実は、1年半程前にな、親父から、“大学卒業するまでに、彼女が出来なければ見合いさ
せて結婚させる。”って、言われてたんだよな…⤵。」
「ちょっと、待って下さい⤵‼
それって、あきらさんは、私を騙したって事ですよね?」
「それは、断じて違う‼」
「じゃあ、如何いう意味ですか?」
桜子、ったく、違ぇんだよ‼
俺を信じて、話しを聞けよ‼
「桜子、信じて欲しいんだが、桜子が考えてる事は違ぇんだよ‼」
「………」
「俺は、親父にその事を言われた当時、まだ、『マダムキラー』を公言していた頃で、好
きな奴も居なかったんだ⤵。
でもな、丁度、その後、桜子があの女3人組に絡まれている事件が有り、その時に、俺
は桜子を、如何も意識するように成っていったんだ。
その同じ時期に、類にも指摘されて、自分の気持ちに気付いたんだ。
だから、親父に言われて、桜子を好きに成った訳でもなく、騙した訳でもねぇって事
⤴。」
「………、じゃあ、その事を、何故、私に話したんですか?」
当然だろ。
俺から、言わなきゃ、変な誤解を生むのが嫌だったんだ⤴。
「親父から聞かされれば、変に思うよな、桜子の事だから…?
じゃあ、俺から聞いた方が良くねぇか?
本心を聞けるだろ?
桜子に変な誤解を生みたくなかった⤴。」
「………」
まあ、気持ちの整理は付けれねぇわな⤵。
でも、言わなきゃ仕方ねぇよな⤵。
「親父は如何も、焦ってんだよ。
司が牧野と付き合い出し、総二郎は優紀ちゃんと付き合い出した。
じゃあ、“俺は?”ってな⤵。
だから、親父は俺に窯を掛け出した。
俺には本気の彼女が出来ねぇと思っていたんだろ⤵。
でも、親父に言われて1年後、俺には、『桜子』と言う本気の彼女が出来た。
親父にしたら、別れられては困ると思っているんだろうな⤵。
形だけでも、『婚約』と言う、誓約を取りたいと、思っているらしいだ。」
「………」
俺は桜子に懇願した。
「俺を信じて欲しい‼
俺は初めて、本気の恋を桜子にした。
この事は、嘘偽りねぇ⤴。
だから、お願いだ。
俺を信じて、俺に着いて来て欲しいんだ‼
だから、三条家への挨拶を許し欲しい‼」
「………」
「ダメだろうか?」
桜子は俯いたまま、俺を見ようとしない。
俺は、桜子の顎を引き上げて、顔を上げさせ、俺の顔を見せるようにした。
俺の真剣な顔を見れば、いくら桜子でも、理解してくれると踏んだからだ。
案の定、桜子が、答えてくれた。
俺の欲しい言葉を…。
「お祖母様と、相談してからで宜しいですか?」
「分かった。
宜しく頼むな‼」
俺は笑顔で、桜子の不安を払拭したくて答えた。
桜子が如何、思っているかは俺には分からねぇが…⤵。