もしも類とつくしが兄妹だったら…<つかつく> 13.
<文章の一部に不快な表現が有りますが、外す事が出来ない為、お許し下さい。>
【花沢つくし 編 13.】
あれから、1ケ月後、司は日本に帰国した。
依然として、つくし自身の記憶は未だ戻っていない。
そんな中、司は日本に帰国したのだ。
司はF3から事の経緯を聞く事が出来た。
司にとって、衝撃的な出来事だった。
まだ依然として、類とつくしの母 かすみは道明寺家側に配慮する気は全くなく、強いて言うなれば、花沢家をこのまま放って置いて欲しいくらいなのだ。
司は類からも、つくしには接近禁止令が出される程なのだ。
今では、道明寺家が辛い立場に追い遣られてしまっていた。
出来るなら、一目つくしに会いたい、見掛けるだけでも良い。
会えないなら、死んだ方がマシだと、姉 椿に訴えるまでに、司は自暴自棄になってしまっていた。
このままなら、司が潰れてしまう。
姉 椿は、弟 司を救う為、類に会う決心をしたのであった。
「類、司につくしちゃんを一目でも良いの、会わせて上げてくれない?」
「姉ちゃん、今のつくしは、“牧野つくし”時代の"つくし"じゃないんだ。
いくら、姉ちゃんでも分かるよね。」
「………」
「今のつくしには、記憶が全くない。
今、つくしに司を会わせれば、お互いがショックを起こす可能性も有るんだよ。
今、司につくしを会わせる事は、兄として出来ないよ。」
「………」
兄 類は妹 つくしを救う為、まだ、“司につくしを会わせる訳には行かない。"と、頑なに椿の申し出を拒否した。
司の姉としての思い、つくしの兄としての思い…。
それぞれが姉、兄としての複雑な思いが有る。
椿は折角、司の記憶が戻ったというのに…と、遣る瀬無い思いで一杯だった。
一方、類は、つくしが自殺を諮った場所…が、つくしの気持ちを表していると思っていた。
それは、司が暴漢に襲われた場所…あの港なのだ。
司がつくしだけの記憶を失う事になった原因のあの場所…。
つくしは司を見れば、どうなるだろう…と、言う思いを、類には拭えないでいた。
類は、今のつくしを守れるのは兄の俺だけだ…と、疑わずにいた。
何れ、司とつくしが、また愛し合う日が訪れるだろう事は、周知の事実。
だからこそ、その日までは、つくしを守ると、類は固く誓っていた。
姉として、兄として、それぞれのお互いの思いが、交差する事は今のところ、有り得ないのだ。
F3、T3は一日でも早く、両者、お互いの気持ちが交差する事を願っていた。