バラバラの果てに…<ALL CP> 1.
【プロローグ】
司がつくしだけの記憶を失った事に寄り、司は英徳高校を卒業と同時にNYに渡米して、早8年が経っていた。
司の渡米後、F3の事情も変わり、類は大学を卒業と同時にフランス支社配属になり、渡仏した。
あきらも、大学を卒業と同時にイギリス支社配属になり、渡英した。
総二郎は東京に残り、今まで通りで有った。
また、T4も事情が変わって来ていた。
滋は永林大学を卒業と同時にドバイ勤務となり、ドバイに渡った。
優紀は、総二郎との経緯(いきさつ)が有り、色々悩んでいたが、大学は京都の女子大に進学して、卒業後もそのまま、京都で就職していた。
桜子は大学2年までは英徳学園に通っていたが、皆がバラバラに成っていた事も有り、ドイツに留学して、そのままドイツに残っていた。
そして、つくしは英徳高校3年に進級するはずだったが、F3&T3に何も伝える事も出来ず、椿に寄って拉致られ、渡米していた。
つくしが行方不明に成った事は、F3&T3も何か事情が有っての事だろうと、つくしから連絡が有るまで、待って居る事にしていたのだった。
勿論、つくしの両親にも、内密にするように、椿からお願いしていた。
椿はつくしを拉致するかの様に、つくしをLAに連れて来た事も、司とつくしの将来を案じていたので、椿の傍につくしを置いて於きたかっただけなので有ったが…。
椿は、司がつくしの記憶を取り戻した時、つくしの居場所が分からない、離れ離れに成ったというような事にはしたく無かっただけなので有った。
つくしも椿の気持ちが分かるので、有難く厚意に甘えていた。
椿とつくしは、渡米後、椿の家族と共にLAで生活し、つくしはLAの高校・大学・大学院に通い、優秀な成績でスキップして、5年で卒業していた。
そんな椿にご恩を返すかのように、つくしは卒業後、椿の夫の会社に就職し、椿の夫の片腕と称される程の活躍をしていた。
その事は、楓の耳にも入る事に成るが、楓はあの娘だと、つくしだとは思っても居なかったのだった。
そんなある日の事。
ある企業のパーティーが開催され、椿は夫のパートナーとして、つくしは椿の夫の秘書として、パーティーに出席していた。
その光景を目の当たりした楓は驚愕するしかなかった。
司の評判は日に日にダダ下がりしていく中、つくしの秘書としての評判は鰻上りに上がっていた。
それと、同時に、椿の夫の会社の業績も評判も良く、株価も上がり出していた。
椿は、椿の夫の両親からも、椿夫婦には子供が居ない事から、つくしを養子にしては如何かとの打診を受けた。
勿論、椿の夫の両親も、つくしと道明寺家との経緯(いきさつ)を知っているからの打診で有ったのだが…。
それ程までに、椿の夫の両親のつくしに対する評価は高いものだった。
椿の夫の両親は、つくしの人となりを気に入ったのである。
何故、楓がつくしを気に入らないかが不思議で仕方なかったのであった。
つくしを知る人なら、全ての人が思う共通の摩訶不思議な疑問であった。
楓は、自分自身で果たしたかっただけなので有った。
中学生から高校生の頃の司の更生を楓の手で、成し遂げたかったので有った。
しかし、司が高校生の頃の司の更生を、つくしに意図も簡単にされてしまった事への悔しさ…。
また、母親としての驕り…。
母親の自分なら、司を更生させる事は簡単…。
その思いが、楓がつくしを許せない要因に成ってしまっていた。