バラバラの果てに…<ALL CP> 5.
一方、司はつくしの記憶を取り戻していた。
司の様子が、普段と何か違う事をいち早く察知したのは、司の第一秘書の西田だった。
西田は司の幼少期より、司を見て来たのだ。
西田に分からない訳等無かったのだ。
「司様、記憶を取り戻していらっしゃるのでは有りませんか?」
「ああ、さっき、戻った。
なあ、西田。
つくしが何故、桜庭家の娘なんだ?」
西田も詳しくは伝えられていないので、まだ、はっきりした事は分からないでいた。
「まだ、詳しくは存じ上げておりません。
申し訳御座いません。」
「西田、つくしが桜庭家の娘なら、俺とは身内に成る。
これからの俺のパーティーのパートナーはつくしだ。
ババアにそう伝えて於け‼」
司のパーティーのパートナーは、楓、もしくは、椿が努めていた。
または、パートナー同伴のパーティーで有っても、パートナー無しでぶっちぎって出席していた。
西田は司がつくしの記憶を取り戻したので有れば、司はつくしから離れないつもりだろうと、踏んでいたので、西田は楓に報告する事を司に了承していた。
取り敢えず、西田は、“会長、社長は、現在、混乱を来たしているだろうが、司様の事はお伝えして於こう。”と、考えていた。
後日、西田は、司の記憶の件を社長に伝えた。
「司の記憶が戻ったので有れば、司がつくしさんに向かうのは当然ね。
私の方から椿に相談して、桜庭家に打診します。」
「承知致しました。
司様にお伝え致します。」
楓は、つくしが桜庭家の娘だというならば、邪険に出来る訳等無いと思っていた。
ならば、道明寺HDの為、司につくしを宛がう事にした。
楓は椿を呼んだ。
「椿、司がつくしさんの記憶を取り戻したそうよ。
司から、“今後のパーティーのパートナーはつくしで…。”と、要請が来たの。
如何かしら…?」
椿は速攻、返事したかったが、桜庭家の手前、つくしの気持ちを聞いてからだと思い直し、楓に答えていた。
「お母様、もう少しお時間を頂戴出来るかしら?
つくしちゃんの気持ちを聞いてからで宜しかったかしら?」
「ええ、それは勿論よ。
宜しくお願いするわね。」
椿は、桜庭邸に戻ると、家族の前でつくしに確認した。
「つくしちゃん、道明寺HDからの要請で、今後の司のパーティーのパートナーはつくし
ちゃんでお願いしたいそうなの。
つくしちゃん、如何かしら?」
つくしは怪訝な顔付きで、椿を見詰めて、声を出していた。
「お姉様??」
「あっ、そうよね?
つくしちゃんはまだ、知らないのよね?
司が記憶を取り戻したの。」
「………」
つくしは、どう答えたら良いのか分からなかった。
其処へ、兄 浩一が、話し始めた。
「つくし、司君は、今まで、パーティーのパートナーは身内だったんだ。
司君の身内は、今までは楓社長と椿だけだ。
つくしも身内に成る。
憶測はそんなに呼ばないだろう?」
「お兄様、本当に大丈夫だと思います?」
椿は、つくしを宥めるように言った。
「司の記憶が戻ったって事は、司はつくしちゃんから離れるつもりはもうないと思う
の?
司の為にもパーティーのパートナーはつくしちゃんにお願いしたいと思っているの。
お願い出来ないかしら?」
父親も話しを切り出した。
「つくし、道明寺家と桜庭家が盤石で有ると証明する為にも、つくしが司君のパートナー
を引き受けてくれれば、桜庭家は尚一層、安泰なんだが…。」
つくしは考えていた。
ご恩を仇で返す訳にはいかない。
ならば、司のパートナーを引き受けようと…⤵。
そして、パートナーの件は了承したつくしで有った。