バラバラの果てに…<ALL CP> 8.
<桜子side・回想>
私が高校2年に進級しようとしていた頃に、道明寺さんが先輩の記憶を失って間も無く、道明寺さんは高校を卒業と同時に渡米した。
その後を追い掛けるように、先輩が私達の前から姿を消した。
F3達は、先輩のご両親が心配している様子がない事・先輩のご両親が先輩を探す気が無い事を理由に、先輩に訳が有ると思うから、先輩が何か言って来るまで様子を見ようと言って来た。
私達T3は悩んだが、F3に賛同して探す事を諦めていた。
その後、優紀さんから告げられたのは、F3との集まりには、“今後参加しない。”という事だった。
訳を聞いても言ってくれなかった優紀さんだったが、“大学受験も控えているし、大学の進学先を京都にした。”と連絡を受けた時は驚愕した。
先輩が居なくても、“其処まで私達を避けなくても…。”と、思っていたが、そうではなかった。
丁度、その少し前辺りから、F3&滋さんが、それぞれの家業の仕事に関わる様に成って来た為、集まる事も儘ならなくなって来ていた。
その為、集まりは必然的に無くなって来ていた。
優紀さんと会って、何故、京都の大学にしたかを聞き出した。
「優紀さん、何故、京都の大学に…?」
「う~ん、此処だけの話しにしてもらえます?」
「勿論‼」
優紀さんは決心したかのように話しし出した。
「私が西門さんの事、好きだったのは知っているでしょ?
勿論、受け入れてもらえて居なかった事も…。」
私は頷いた。
「実は、私、西門さんから受け入れてもらえて無かっただけじゃなく、色々西門さんから
言われていたの。
正直、傷付かなかったのかと、聞かれれば、傷付いて居たと思うの…。
一度や二度だけじゃなかったから…。
西門さんに私への気持ちが無いと言うなら仕方ない事だから、その事は良いの。
西門さんが私を受け入れられないので有れば、仕方ない事だって分かってるから…。
此れは、私の努力が足りなかったから…。
でも、その後から、バイトの帰りに良く西門さんと会うように成って…⤵。
しかも、毎回、連れている女性の人が違って…。
態とか如何か分からないけど、私とすれ違いそうに成ると、西門さんが女性の腰に腕を
回して、女性を西門さんに引き寄せている所を見せ付けられてたの。
そんな所を見たくないし、見せ付けられる言われも無いし…。
だから、西門さんを吹っ切る為、京都の大学にしたの。」
西門さん、遣る事、酷過ぎですよ‼
私は京都の大学にしたという優紀さんを止める事も出来ず、唯、連絡だけは取り合いたいと約束した。
その後、F3は大学卒業後、花沢さんはフランス支社へ、美作さんはイギリス支社へ、それぞれ、赴任した。
滋さんがドバイに赴任した頃、私はとんでもない噂話を聞いてしまった。
滋さんが一時帰国した時に問い詰めた。
「滋さん、聞きたい事が有るんです。
道明寺さんが先輩だけの記憶を失って、先輩が行方不明に成っているからって、大河原
のおじ様が、道明寺家に道明寺さんと滋さんの政略結婚の打診をしたって本当です
か?」
“滋さんは何で知っているの?”と、言わんばかりに、驚愕していた。
「桜子、誤解しないで欲しいんだけど…?
それは勝手にパパがした事で…⤵。」
私は滋の返答に、間髪入れずに言葉を紡いだ。
「滋さんが、まだ、道明寺さんの事を好きだと、おじ様に意思表示したからじゃないんで
すか?」
「………」
滋は答えられずにいた。
「滋さん、もう、仲間だとは思いたくありません。
先輩を裏切る人は、私は決して許さない‼
そのつもりで居て下さい。」
「………、桜子‼」
私は、優紀さんにもこの件を話しして、優紀さんと私は、その後、滋さんとの連絡を絶つ事にした。
私はその後、噂で聞いた処によると、道明寺さんは、
“政略結婚には応じない。
それが例え、重要な取引先で有っても応じない。”
と、答えたそうだ。
勿論、“大河原財閥の申し出で有っても気持ちは変わらない。”と、答えたそうだ。
先輩の記憶が無くても、やはり道明寺さんは先輩、何だと、私は安心していた。