記憶を失って…<つかつく> 13.
司にとって、やっと、この日が来た。
古菱商事が東京支社を立ち上げる事に成った。
そして、古菱商事 東京支社 支社長就任につくしが成った。
古菱商事 東京支社 竣工パーティーが某日に執り行う事に成った。
勿論、つくしのパートナーは、婚約者の司。
終始、デレデレで、見てる周りが気を遣う程だった。
そのパーティーの席で、つくしは、司からF3&T2が紹介された。
「つくしさん、俺の親友とその彼女を紹介しますよ⤴。」
つくしは、“はい。”と、だけ、返事をした。
「こっちが、花沢物産 後継者で専務の花沢類。」
類とつくしは握手を交わした。
「こっちが美作商事 後継者で専務の美作あきら。
と、その彼女の旧華族 三条家の令嬢 三条桜子。」
つくしは、それぞれと握手を交わした。
「で、こっちが、茶道 西門流 次期家元 西門総二郎。
と、その彼女の松岡優紀。」
つくしは、それぞれと握手を交わした。
「で、此方が、古菱商事のご令嬢の古菱つくしさん。」
「宜しくお願いします。」
つくしは、お辞儀した。
「こいつ等は、俺のガキの頃からの幼馴染で親友、何で、何か有ったら助けてもらえると
思う。
一番は、俺に何でも相談して欲しいけど、俺の親友の彼女達なら、仲良くしてても損は
無いと思うから⤴。」
「有難うございます。
東京は初めてで、分からない事だらけだと思うので、宜しくお願いします。」
全員が寂しく感じた。
つくしは、“生まれも育ちも東京だというのに…⤵。”と…。
特に、小学校・中学校と同じ出身校で幼馴染の優紀は居た堪れなかった。
その様子に気付いた桜子が、そっと、優紀に頷いて見せた。
その様子に、総二郎とあきらは気付き、居た堪れなかった。
また、類も寂しさが溢れ出して来るのを感じていた。
致し方ない事では有るのだが、やはり、見た目が、『牧野つくし』なだけに、
何故、あの時、探し出さなかったのかという、後悔だけが押し寄せてくるF3&T2だった。
あのパーティーから、1ケ月が経ち、つくしは、大分落ち着いて来ていた。
司のフォローも去る事ながら、かなり、つくしは優秀だと司は思った。
西田も思ったようで、古菱商事が軌道に乗り出す日もそんな遠くは無いと踏んだのだった。
勿論、つくしの仕事振りは楓の耳にも入り、それなら、最初から、つくしを取り込んで於けば良かったと後悔し切りの楓で在った。
また、司の仕事振りも頗る順調で、司の評価も誰の目から見ても、鰻上りに上がっていた。
楓は思った。
つくしが居るのと、居ないのとでは、雲泥の差だと…。
ならば、司からつくしを引き剥がせないと…。
こんな風に成る前に、もっと、早く気付くべきだったと…。
未だに、つくしの記憶は戻ってはいない。
司は、つくしに記憶がない事は致し方ない事と割り切ろうとしていた。
つくしが傍に居てくれるだけで…。
それだけで、司は、幸せだったのだから…。