もう一度、取り戻す…<つかつく> 1.
<つくしside>
「只今、帰りました‼」
「「「お帰りなさ~い。」」」
【牧野つくし 25歳 某広告代理店に勤務して3年目】
『私には、辛い恋と思い出が有る。
もう、恋はしない。
仕事に生きると決めて、早4年が経とうとしていた。』
「牧野、お帰り‼
“牧野が帰って来たら、社長室に来るように…。”って、社長から連絡が有ったぞ‼
お前、とうとう、何か遣らかしたか?」
つくしは心外とばかりに、不貞腐れ気味に言った。
「先輩、いい加減にして下さいよ。
私は、何も遣ってません‼
取り敢えず、社長室に行ってきます。」
そう言って、つくしは社長室前まで来た。
【コンコン】…つくしは扉をノックした。
「牧野です。」
「牧野君か?
入りなさい。」
つくしは扉を開けて、中に入った。
中に入ったつくしは『??』、状態だった。
『何故?』以外考えられなかった。
社長室には楓が居たのだ…⤵。
「つくしさん、お久し振りね⤴。」
「………、ご無沙汰致しております。」
社長はニコニコ顔でつくしに声を掛けた。
「牧野君、此方、道明寺HDの道明寺社長だ。
御存じだね⤴。
道明寺社長の御子息とは、お付き合いしていたらしいね⤴。」
つくしは驚愕していた。
“何故、道明寺社長が此処(社長室)に居るの??”
しかも、
“何故、社長に態々、道明寺と付き合っていた事を言わなくてはいけないの?”
つくしには分からなかった。
<あれは、約4年前、道明寺が、「4年後に迎えに行きます。」と、メディアに言い残し
て渡米して、もう直ぐで4年が経とうとしていた頃、私の目前に現れたのは、道明寺で
はなく、道明寺社長だった。
道明寺社長から言われた一言で、私の恋は終わった事を意味していた。
「牧野さん、貴女には、司と別れて頂きたいの。
理由はお分かりよね?
貴女は司にとってお荷物なの⤵。
勿論、道明寺HDにとってもね⤵。」
私は、潔く退いた。
「承知しています。
今まで、勝手して、申し訳有りませんでした。
御子息には、“今まで、有難う御座いました。”と、お伝え下さい。」
此れで、道明寺家とは縁が切れたと、思っていた。>
「つくしさん、貴女には、NYに来て頂きます。
宜しくて…。」
つくしは、怒りを露わにしていた。
「いい加減にして頂けますか?
私は、道明寺家とは、もう、関わらない事をお約束した筈です。
それが何故、道明寺社長自ら、私に関わろうとしてらっしゃるのですか?
もう、私を振り回さないで下さい。
社長、打ち合わせがありますので、此れで、失礼致します。」
そう言って、つくしは、オフィスに戻って行った。
社長は慌てていた。
「道明寺社長、申し訳ございません。
私共の社員が、失礼な物言いを…。」
楓は平静を装い、冷静に社長に言って除けた。
「つくしさんは、相変わらずのようですわ⤴。
宜しいんですのよ⤴。
あれくらいは、何時もの事ですので…(笑)。」
楓は、つくしを逃がさないと決めていた。
一方、つくしは、オフィスに戻ってもイライラしていた。
「おいおい、牧野。
戻って来るなり、人格変わってんじゃねぇか?」
つくしは、先輩を睨み付け乍ら、言っていた。
「先輩、放って置いて下さい‼」
「何が有ったんだ?」
「………」
つくしは、ノーコメントを貫いた。