もう一度、取り戻す…<つかつく> 10.
ある日、道明寺HDに、嘗てつくしが勤めていた某広告代理店のつくしの先輩が、打ち合わせに来ていた。
つくしは背後から先輩に声を掛けられていた。
「牧野、久し振りだな‼
元気に遣ってるか?」
「あっ、先輩っ‼
お久し振りです。」
「牧野に会えて嬉しいよ‼
今日、時間有るなら、久し振りに飲みに行かねぇか?」
司はじーっと、様子を窺っていた。
つくしは司が近くに居る事は気付いていなかった。
「先輩、久し振りですし、“良いですね⤴。”って、言いたい処ですが、ちょっと、無理か
な?」
「へぇ~、牧野が俺の誘いに断わって来るとは思わなかったな⤵。
初めての事じゃねぇか?
道明寺HDに出向して、付き合い悪くなったんじゃねぇの?」
「否、そう言う事じゃないんですが…⤵。」
「まさか、彼氏が出来たのか?
男勝りの牧野が…か?」
「いい加減にして下さいよ‼
男勝りは余計です⤵。」
司は、見ていて、イラ付き始め、【会社内で話し掛けない】という約束を破る事にした。
言い訳として、“つくしが楽しそうに男と喋っているのが悪ぃ。”と言うつもりで居た。
「つくし、仲良さそうだな?」
司は、会社内で有るのは分かっていたが、態と、男の前で『つくし』呼びをした。
「道明寺副社長っ‼」
「お前は誰だ?」
「はいっ‼
牧野が以前勤めていた会社の元同僚です。」
「へぇ~、その元同僚とやらが、俺のつくしに如何いった用件が有んだ?」
つくしは困惑し始めた。
「ちょっと、何を言ってんのよぅ~?」
つくしは小声で司に言っていたのに、態とだろうか?
司は、相手に聞こえるように言って除けていた。
「お前が悪ぃんだろ?
俺が居る目の前で、男といちゃ付きやがって…⤵。
いい加減にしろよ‼
誰にでも、ホイホイと、可愛い面、見せんじゃねぇ‼」
先輩は驚愕していた。
つくしは、“確実に先輩にバレたよね?”と、思っていた。
案の定、先輩から聞かれた⤵。
「牧野、お前、副社長と付き合ってんの?」
「付き合っちゃあ、いけねぇのかよ‼
それに、こいつの事を『お前』と、呼べるのは、俺だけなんだよ‼
覚えて於きやがれ‼」
「承知しました。
では、失礼します。
牧野、また。」
つくしは怒りが収まらない様子だった。
司は思わず、つくしの顔色を窺っていた。
司は、“ヤベっ”と、思わずには居られなかった。
「道明寺、約束だから、道明寺邸を出るわね。」
「………」
司は、寂しそうな・辛そうな顔付きをして、つくしを態と見詰めた。
つくしはつくしの弱い顔をして見詰める司を見ない様にしていたのに、司は、つくしの顔を、態と覗き込んでいた。
その様子を見ていた西田が、慌てて、止めに入り、司の執務室へと、司とつくしの二人を誘導した。
「司様、つくし様、社員が見ていたら、如何なさるおつもりでしたか?
まだ、お二人は婚約発表を済まされておりません。
会社内では、こういう事は御控え下さい。
余り、酷いようでしたら、社長に報告せねばなりません。
そう成れば、NYと東京間の遠距離恋愛とまた成る事をご承知下さい。」
司は、ギョッとした。
そう成れば、つくしとの同棲生活がパーに成る。
司は、西田の忠告を聞く事にした。
「分かった。
会社内では慎む。
つくし、その代わり、邸に帰ったら、分かってるな‼」
つくしはその方が、ギョッとしていたのだった。
“誰か助けてぇ~‼”のつくしだった。
何か、忘れてません、つくしさん‼←誰の声?? by 天の声と言うの名の西田の声
つい今し方、つくしが公表した、“道明寺邸を出る。”という話しが、有耶無耶に成っている事をつくしは気付いていない。
司は、して遣ったりであった。
ほんと、上手く乗り切りましたね、司君‼←だから、誰の声?
by 天の声と言う名の西田の声