もう、逃げられない…<つかつく> 短編 後編
『つくしさん、お邸で、司と一緒にお住みなさい。』
<つくしside>
あの日、お義母様が仰ったお言葉を同意するかのように、司に寄って『コト』が進められ、道明寺邸で、司と同棲する事に成ってしまった私…。
プライベートも一緒、仕事も一緒…⤵。
『私は、常に、司に監視されている様だ。』と、思っていた。
司は、ニヤ気ながら、私に言って来る。
「何が、不満なんだ。
俺と、四六時中、一緒に居れて…。
俺が、何時でも、可愛いがって遣るからな‼」
ほんと、司は、分かっていない。
そう言う、男だったね、司は…。
忘れていたつもりじゃなかったけど…。
そして、そんな日から、また、幾日か経ったある日。
お義母様から、連絡が入った。
「つくしさん、今度の日曜日、空けて於いて頂戴‼」
「えっ、何か有るんですか?」
「空けて於いてくれたら宜しい事よ‼」
いつも、此れだ…。
お義母様からの連絡は、用件だけで、後は、『自らで悟れ‼』だもんね⤵。
「はぁ~⤵。」
溜息しか、出ない。
まあ、高校生の頃に比べたら…かもね‼
で、日曜日が来た。
部屋に司と居ると、タマさんが、呼びに来て下さった。
「坊っちゃん、つくし、準備が出来たよ。
ダイニングで皆さん、お待ちだよ。」
「分かりました。
有難うございます。
タマさん、一体、何が有るんですか?」
「ダイニングに行ったら、分かるさね⤴。」
やっぱり、タマさんも口留めされてるみたいだ…。
一体、何が有るって言うの??
「はぁ~⤵。」←つくしの心の声。
俗にいう、溜息で有る。
司と私がダイニングに入って、驚愕してしまった。
司と私は、同時に声を発していた。
「はぁ~??」
「えっ??」
司が、お義母様に聞いていた。
「これは如何いう事だよ?」
ダイニングには、お義父様・お義母様・椿お姉様のご家族がいらっしゃる意味は分かる。
それが、何故、私の両親に進まで居るの?
私は思わず、叫んでいた。
「何故、パパ、ママ、進が居るのよ?」
パパ、ママ、進は苦笑いで有る。
お義母様が、話しに入って来られた。
「つくしさん、今日はね、私(わたくし)がお呼び立てしたのよ。
司が、牧野家にまだ、ご挨拶して居ないと伺ったから、主人とご挨拶して来たのよ。
それでね、お邸で、司とつくしさんの婚約お披露目会をしようと言う事に成ったの
よ。」
「そうだったんですね。
両親に会って頂いて、有難うございます。」
私の言葉はスルーですか?
そうだった、道明寺家の特長だった。
人の話より、自分自身の話しを推し進めるタイプだった。
「それでね、椿が牧野のご両親にお会いした事が無いと言うので、今日の席を設けたとい
う訳なの。
ダメだったかしら?」
「いいえ、お気遣い下さり、有難うございます。
感謝しています。」
「そう、それは良かったわ。」
と、言う事で、私は司の婚約者と成り、婚約パーティーが開かれ、あれよあれよという間に、結婚式が執り行われ、入籍も済ませ、私は、名実共に、『道明寺つくし』と、成った。
そして、いつの間にか、道明寺HD 専務に成っていた私。
道明寺家からは、もう、逃げられないと、悟った私が其処には居たのだった。
fin