慕情そして恋情…<つかつく> 19.
楓は、こんな日が来るとは思わずに居た。
つくしの本質を見ず、毛嫌いし、仕打ちし続けた。
それでも、司とつくしは、離れなかった。
そんな司が、つくしの記憶を失った事で、『やはり、司はつくしを必要としていない。』と、勝手に思い、司をNYに連れて行った。
そして、楓は、司の人格を変えてしまった。
楓は、自分のした事の罪深さに拉がれていた。
司を更生する事も、男にする事も、全てがつくしだった。
楓は、つくしに『完敗』と、自覚した。
漸く、楓は一人の親に成れたのだった。
つくしの病室の扉の向こうで楓とつくしの話しを聞いて居たのは、司と翼と椿だった。
司と翼と椿は、ディナーをしに、外に出ていたのだ。
楓とつくしの会話を聞いて居て、司は驚愕し、翼は微笑を浮かべ、椿は涙が出て止まらなかった。
楓とつくしが、分かり合えている。
つくしが高校生の頃の楓なら、考えられない事だ。
こんな日が来るとは思わなかった司と椿だった。
つくしが道明寺家を変えてくれたのだ。
椿はつくしに感謝しかなかった。
こんな日が永遠に続く事を椿は、心の中で祈っていた。
【コンコン】…其処で、司が扉をノックした。
「俺だ、入るぞ‼」
「はい、どうぞ。
お帰りなさい。」
翼が急に、“皆が居る前で言いたい事が有る。”と、話し出した。
「父さん、母さん、お祖母さん‼
聞いて欲しい話しが有るんだ‼
俺、もう直ぐしたら、高校生に成るでしょ。
まあ、父さんがNYに行った時と俺が行く事が有る場合とでは、理由が一緒って訳じゃ
ないとは思うけど…。
父さんは、高校卒業後、NYに行ったんだよね?
じゃあ、俺も、高校卒業後、NYに行きたい‼
進兄ちゃんには話しして居たんだけど…。
実は俺、父さんの存在を知らない頃から、グローバルな仕事をして行きたいと、考えて
居たんだ。
今の俺の目標は、父さん‼
お祖母さん、俺も鍛えて。
父さんもお祖母さんが鍛えたんでしょ?」
楓と司は、苦笑いで有った。
楓は、翼なら、遣れるような気がしていた。
本質は、つくしだからだ。
道明寺家自慢の孫の『翼』。
楓は、涙を流しながら、翼の決断を喜んだ。
「お祖父さんにも伝えなければね。
喜んで下さるわよ。」
「うん、お祖父さんとお祖母さんの二人で鍛えてよ。
高校卒業までに、英才教育をしっかり勉強して於くから…。」
楓は、つくしに提案を伝えた。
「分かったわ。
楽しみにしているわ。
あっ、そうね。
つくしさん、翼が長期休暇が入る度に、NYに来させると言うのは如何かしら?」
司は、司自身を外されて話しが進む事が許せずに居た。
「何で、俺に聞かねぇんだ?」
当然とでも言わんばかりに楓に言われてしまった司だった。
「司に言わなくても、つくしさんに伝えれば充分でしょ。」
「はぁ~??」
椿は、今の『司』と『道明寺』を根本から変えてくれたのは『つくし』。
椿は、成らば、当然の事だと思っていた。
「司、諦めなさい‼
今や、お母様の重要人物はつくしちゃんなのよ。
もはや、司、貴方は、道明寺家の働き蜂に成り下がっているのよ。
今や、道明寺家の決定権は、司じゃなく、つくしちゃんよ‼」
司は、“息子の前だというのに…。”と、居た堪れないで居た。
「父さん、諦めな‼」
“息子にまで言われている俺って…⤵。”
“今の道明寺家を支えているのは、俺だっつーの‼”と、思う司だった。
やはりの俺様、司様だった。