バラバラの果てに…<ALL CP> 20.
あきらは必死だった。
桜子を自分自身の手元に置く為に、相手男性より、あきらの方が桜子に相応しいと示したかったのだ。
実際、桜子は相手男性より、あきらに気持ちは傾いていた。
あきらとの、メールやLINEの遣り取りに心がときめいていたのは、桜子自身、隠し様の無い事実…。
成らば、あきらに就いて、日本に帰国する方が、自分自身の為に成ると、桜子は判断したのだ。
だが、それが面白く無いのは、相手男性だ。
あきらは、相手男性と、冷静に話し合いしようとしていた。
「桜子は、もう、貴方との交際を清算しようとしています。
私は、桜子と、まだ、正式に付き合っている訳じゃ有りません。
私が、桜子を口説いていただけです。
ですが、貴方との交際も、訳アリのようですね。
私は、貴方の事をとやかく言える立場では有りません。
が、貴方の立場なら、この様な状況は、良くありませんよね?
桜子の立場も考えて上げた方が良いのでは有りませんか?
私なら、独身です。
私なら、桜子を大切にして遣れると、自負しています。
如何でしょうか?
此処は、大人に成って、お互い冷静に『コト』を進めませんか?」
あきらの気持ちを聞いた桜子の相手男性は、今後、如何したいのかを桜子に確認していた。
そして、あきらは、桜子の方を向いて、桜子に判断を仰いだ。
「桜子っ‼
桜子は如何したいんだ?」
「私は、美作さんに就いて、日本に帰国したいと思います。」
桜子の相手男性は、あきらに対する桜子の気持ちが本物かを確認する意味で、態と捻くった言葉で桜子に聞いて居た。
「それは、桜子は彼の事を何とも思っていないって意味で良いんだな?」
「いいえ、そんな事は無いわ‼
私と、美作さんの出会いは、高校生の時。
その頃は、唯の先輩と後輩だった。
私の尊敬する先輩の彼氏の親友が美作さんで、その頃は、本当に、唯の先輩と後輩の間
柄だった。
それが、つい最近まで、会ってなかった筈なのに、再会した時、不思議と懐かしさが無
かったの。
寧ろ、“此れでまた、会えなくなるのかな?”と、寂しさが押し寄せて来たと、言った方
がしっくり来るくらいの気持ちだったの。
それに、美作さんから入って来るメールやLINEにいつも、ときめいて居た。
此れで、もう、分かる?
貴方への気持ちは、全く無い。」
桜子は、はっきり言って除けた。
何故なら、『日本人女性は優しい』と、思っている人には、はっきり言わなければ、通じない事も有ると認識している桜子が、其処には居たのだから…。
しかし、相手男性も、負けじと、言う事は言って来た。
「桜子、きついね。
日本人女性は優しい筈だろ?
何故、桜子は優しく無いんだ?
失礼だぞ‼」
「私は、日本人女性にしては、きつい方かも(笑)。
高校生の頃は、私の尊敬する先輩からは、いつも“策士‼”って、言われていたか
ら…。」
相手男性は、“今までは何だったんだ。”と、思うしかなかった。
「桜子、じゃあ、今までの桜子は…?」
「今までは、『日本人女性は優しい』と、思っている貴方の期待を裏切らない様にしてい
ただけ…。
猫被っていただけよ‼」
「………」
相手男性は、何も言えなかった。
あきらは、間髪入れずに、桜子の言葉に上乗せして応えていた。
「猫被りは、桜子の専売特許ですよ(笑)‼」
相手男性は、尚更、何も言えずに居た。
あきらは、最終決断を相手男性に求め出した。
「桜子の気持ちが、貴方に無いのなら、何時までも、束縛して居ても、貴方も辛いだけで
しょ?
それなら、桜子を開放して遣ったら如何ですか?
それも、日本流で言う成れば、『男の優しさ』って、ものですよ。」
あきらは、桜子を、自分自身の手中に収める為、相手男性が諦めてくれる様に、諭したのだった。
“流石、美作さんだ‼”と、思わずには入れない桜子だった。
相手男性も、桜子には、こういう男性が合うのだろうと、悟った相手男性は諦めの窮地に居たのだった。
そして、あきらと桜子に話ししていた。
「桜子には、貴方の様な男性が良いのでしょうね?
分かりました。
桜子、今まで、有難う‼」
そう言って、相手男性は部屋を出て行った。