忘れ欠けていた…<総優> 7.
優紀のお相手が誰なのか、家元は調べ始めた。
また、総二郎も、優紀の相手が誰で有るのか気に成る処ではある為、総二郎も独自に調べ出していた。
そんなある日の事だった。
偶然、優紀が男性と一緒に居る所を、リムジンから見掛けてしまった総二郎は、相手が誰で有るかを確かめようとするも、リムジンが動き出し、判別出来なかった。
その時の総二郎は、その『男』に対して嫉妬に震えていた。
また、本当に、優紀には、『男』が居たのかと、ショックを起こしても居たのだった。
そんな事が有った数日後の事だった。
仕事が早く終わった日に、優紀に会いたくなった総二郎は、幼稚園に出向き、優紀が出て来るのを待つ為、総二郎は愛車を走らせていた。
幼稚園に到着して、少しの間、愛車内で待って居た総二郎は飛んでも無い光景を目にしてしまって、脱力感に苛まれていた。
優紀が幼稚園の職員専用通用口から出て来る所だったので、慌てて、声を掛けようと、総二郎が愛車から出ようとしている所だった。
その時だった。
前の車から出て来たのが、類だったのだ。
類は、類の方に向かって笑顔で歩いてくる優紀の荷物を持って遣り、エスコートしながら、車に乗せた。
実は、類は、類の愛車のバックミラーから、総二郎の愛車が、類の愛車の後ろに止めて居る所を確認して居たのだ。
優紀は、類が普段、エスコート等しないのに、その日に限って、態々、車から降りて、類がエスコートをして来るので、実は、その意味が分かって居なかったのだ。
優紀は類の態度が解せないので、車に乗車後、類に確認していた。
「類君、今日は、如何したの?
普段、迎えに来てくれても、エスコート何てした事無かったでしょ?
車からも下りた事も無いのに…⁉」
類は、飄々とした態度で、笑いながら言っていた。
「えっ、だって、幼稚園の先生は、俺が優紀の彼氏と勘違いしているんでしょ?
だったら、彼氏面するのも面白いかと思ってね(笑)。」
優紀は、困惑して反論して言った。
「誤解を生む様な事は、止めてよね⁉
そうじゃなくても、“二股掛けてる。”って、言われてるのに…。」
類は、尚も、飄々と言って除けた。
「へぇ~、優紀って、二股掛けれる根性有るんだぁ~⁉」
「有る訳ないでしょ(激怒)⁉
類君が一番知ってるでしょ(激怒)‼」
類は尚も、飄々とふざけ気味に言って来た。
「優紀の怒った顔は、可愛いよ‼
写メでも撮っとく⁉」
そう言いながら、類は、優紀の怒った顔の写メを撮った。
尚も、優紀は、怒り出していた。
「いい加減にして、類君っ‼」
類は、この優紀の怒った顔の写メ(優紀の顔がドアップの写メ)を総二郎の携帯に送っていた。
実は、類は、優紀から、最近の総二郎の行動を聞いて知っていた。
総二郎から、以前、聞いて居た、総二郎の『片思い』の相手が、優紀で有る事を、今日で、確信が持てた類だったのだ。
そして、総二郎は、総二郎で、写メを送って来た送り主を見て激怒していた。
だが、もしも、類と優紀が付き合っているとしても、類を咎める事も出来ない総二郎は、悶々とするしかなかったので有った。
類は、高校の頃、総二郎が優紀にした行いを償わせる為に、意地悪を決行していた。
この事が有って以来、総二郎は、幼稚園に行く事が出来なく成って居た。
それだけではなく、仕事も失敗続きに成っていた。
また、尚も、遣る気の無い総二郎が出来上がり、其れこそ、総二郎の両親である家元と家元夫人が頭を悩ます事態に成っていた。
家元は、優紀に会う決心をし、総二郎の想いを伝えようと考えて居た。
其処で、優紀から事情を話された家元と家元夫人は安堵するが、総二郎のこの上ない憔悴し切っている状態を如何すれば良いのか、悩む事に成ったのだ。
それは、優紀との約束を守る為では有ったのだが…。