忘れ欠けていた…<総優> 20.
優紀は、総二郎と一夜を過ごした翌日、西門邸に総二郎と一緒に居た。
総二郎の両親である家元と家元夫人に挨拶する為だった。
やっと、西門邸に顔を出してくれた優紀を歓迎する家元と家元夫人。
家元夫人は泣きながら、優紀に声を掛けていた。
「優紀さん、やっと、(西門)邸に顔を出してくれたのね。
待って居たのよ。」
「大袈裟なんだよ、お袋は…。」
家元夫人は思わず、涙も引っ込んだ様で…。
家元夫人は、総二郎に怒りながら、話し出した。
「何が、大袈裟なもんですか?
一時は、如何成る事かと…。
本気で心配したんですからね。
このままだと、総二郎が再起不能に成るんじゃないかと…。
どんなに気をもんだと思っていらっしゃるの?」
総二郎は、居た堪れずに居た。
優紀は、驚愕で、却って、居た堪れずに居た。
このままだと、埒が明かないと判断した家元から、話しを切り出した。
「総二郎、優紀さんと二人で、(西門)邸に来たという事は、そう言う事なんだと思って
良いんだな?」
「ああ、やっと、優紀が根負けしてくれた。」
「根負けって…⁉
優紀さん、総二郎を許してくれたのよね?」
「………、はい‼」
優紀は、家元夫人には、それしか答え様が無かった。
否、如何答えたら良いのか分からなかったと言うのが正解かも知れなかった。
家元は、気に成って居る事を切り出してきた。
「類君は、今回の事を許してくれたのか?」
「ああ、一応、伝えた。
類も、“良かった‼”って、言ってくれた。」
「そうか、それは良かった。
類君とは、これからは、親戚として、世話になるだろうから、無下には出来んな。」
「ああ、分かってるよ‼
親父、お袋、有難な‼」
家元と家元夫人は、笑いながら、頷いていた。
そして、家元から、許しを得る事が出来た事で、幼稚園でのお茶のお稽古の件が、無事、幼稚園からも、許可が出て、来春の4月から開催される事に成った。
勿論、教授は総二郎、補佐は優紀が務める事に成った。
それに先立ち、幼稚園内で、お茶会が開催される事に成った。
幼稚園の空き教室を、お茶室に見立ててリフォームし、立派なお茶室が出来た。
お茶会で亭主を務めるのは、勿論の総二郎。
半東は優紀が務める事に成った。
此れを喜んだのは、更だった。
長らく、お茶から遠ざかっていた更は…。
「二郎と優紀ちゃんの初めてのコンビ…だね⁉
勿論、彩夏と参加させてもらうわね。
楽しみにしてるよ‼」
と、茶化されてしまった。
優紀は勿論だが、総二郎まで照れる姿に、更は呆れて言った。
「二郎に大人に成っても、そんな純粋な所が有ったなんてね…⁉
知らなかったな⁉
優紀ちゃんが全て、引き出してるんだろうな。
私では、出来なかったよ(笑)‼」
総二郎と優紀は照れ捲っていた。
お茶会も、総二郎見たさに、保護者と園児だけでなく、園児の祖母、親戚も来ていた為、盛大に盛り上がった。
優紀はヤキモチめいた表情を隠し切れずに居た。
その様子に、更は、後々、総二郎と優紀を茶化すのだった。
4月からの入会者も、幼稚園の保護者と園児に限らせていたのに、キャンセル待ちが出る程だった。
この事に寄り、総二郎と優紀は、西門の重鎮からも認められる事に成り、婚約発表する事に成った。
優紀は、次期家元夫人としての修行も兼ねて、西門邸でのお稽古を受ける事に成った。
勿論、優紀は、家元夫人を師事した事は、言うまでも無い。
その後、1年後に、結婚する事に成った総二郎と優紀だった。
そして、優紀は、更の娘 彩夏の年長組の担任と成って、彩夏を卒園させて見送った。
そして、優紀は、幼稚園の教諭を退職して、次期家元夫人として、後世、西門流に尽くしていた。
勿論、結婚後も、総二郎は優紀だけを見詰め続けた。
優紀のバックには、類だけではなく、つくし・桜子が居るので、粗相が出来ないのは、言うまでも無いのだが…。
此れにて、総二郎と優紀は、幸せに成った事を噛み締めるのだった。
fin