君だけ(を)…<総優> 4.
<総二郎side>
優紀が、居なく成って、1年が経った。
その間、F3&T3は、優紀の消息を探してくれていた。
先ず、牧野は、優紀の両親から、優紀の居所を訊き出してくれていた。
しかし、帰って来た言葉は…。
「海外に留学している。」
…の一言だけだったそうだ。
其処で、司が、空港に手配して、道明寺の力を利用して、優紀の出国先を調べてくれたが、出国した形跡が無かったそうだ。
“優紀、お前、何処に行ったんだ。
牧野じゃねぇんだから…。
雲隠れしねぇで、出て来いよ‼”と、いつも、何処とは無しに、話し掛けていた。
その後は、一切、優紀の消息が分かる様な物は出て来なかった。
この1年の間、俺は、次期家元としての職務も放棄して居た。
それでも、尚、母親からは、見合い話を言われるも、一切、乗らなかった。
そして、この1年、此のマンションに来る俺の世話係は、使用人頭のかよだけだった。
俺の様子を見る為でも有るんだろうけど…よ。
「坊っちゃん、また、お食事を召し上がらなかったのですか?
お身体に触りますよ‼」
「ああ。」
俺の会話は、一言だけ…だった。
眠りも浅い。
其れなのに、毎日、俺の夢に、優紀が出て来やがる。
俺の心の中に何時までも、占拠して…。
俺の心の中に、優紀の存在を露わにして来る。
だから、昔の様に、優紀を苦しめる様な事は、出来ねぇ…。
そんな時だった。
類から連絡が来た。
“総二郎…。
俺、見てしまったよ‼”
類は、唐突に何を言ってんだか?
「何を…だよ?」
“松岡が、今、何処に居ると思う?”
今、類、何て言った?
「はぁ~??
見付かったのか…⁉」
“うん‼
でも、見付かったと言う寄り、“見付けた…⁉”の方が、当たってるかもね?”
はぁ~??
「如何いう意味だよ?」
“テレビにチラッと、映ってたの。
で、後で、再生して確認したら、やっぱり、松岡だったの‼
○○って、言う、過疎の町に居るみたいだね⁉
其処の町に、若者を増やす取り組みがされて居て、インタビューに答えてる人の後ろを
偶然、通り掛かったみたいだった。
気付かずに通ったんじゃない。
買い物袋を持っていたから…。”
類に感謝だな‼
「類、サンキュ‼
お前が、テレビっ子で良かったよ。
類は、確か、俺等が高校の時も、牧野の居所を、テレビの番組で見付けたんだろ?」
“ああ、そんな事も有ったね。
あの時は、司は、中々、動かなかったけど…。
総二郎は、迎えに行くんだよね?”
俺しか、迎えに行く奴は、居ねぇっつーの‼
「当り前ぇだろ?
俺が行かねぇで、如何すんだよ‼」
“じゃあ、気を付けて行ってらっしゃ~い‼”
俺は、“ふざけんな‼”とは、思って居たが…。
敢えて、類には刃向かう事が出来なかった。
優紀を見付けてくれた恩人だから…な。
そして、俺は、慌てて、出掛ける準備をして、車をこっち(マンション)に持ってくる様に伝えて、俺の愛車で、優紀を迎えに行く事にした。