君だけ(を)…<総優> 6.
<総二郎side>
俺は、西門邸に戻って、父親で在る家元に優紀の事を話した。
「家元、家元は、ご存知だったのでしょうか?」
「何を…だ?」
「家元夫人が、優紀に手切れ金を渡して、俺と別れさせた事実をですよ‼」
「何と…。
そんな事を…?」
「しかも、優紀の両親にまで、了承させているんだ。
頼む…、親父‼
俺を、優紀と俺の子供の居る場所で暮らさせてくれ‼」
「お前、今、何と言った。
子供とは、如何いう意味だ?」
「優紀は、俺の子供を妊娠したと分かって居ながら、家元夫人の目論見に了承して、俺の
前から、姿を消した。
しかも、子供諸とも…、旅立つつもりで居たらしい。
岸壁に居た所を、産婆の先生が救ってくれたらしい。
そして、子供を出産した。」
「お前は、会って来たのか?」
「否、会わせてもらえなかった。
“そんな、母親を持つ、俺の所には優紀と(俺の)子供を返せない。”と、産婆の先生か
ら言われた。
だから、俺が、優紀と俺の子供の所に行く。
俺を破門にしてくれ‼」
「其れで、如何やって、優紀さんと子供を養っていくつもり何だ?
浅はかに、言うもんじゃない。
この件は、取り敢えず、私に任せない。」
俺は、取り敢えず、その件は、父親に任せて、マンションに帰って来た。
其れから、何日経っただろうか?
親父からの連絡を悶々とした状態で待って居た。
<優紀side>
私は、先生から、あの後、総二郎さんが帰った事を聞いて居た。
「優紀、優紀の旦那は、帰ったよ。」
私は、思わず、“旦那…って⁉”と、絶句していた。
先生は、続けて話ししてくれた。
「母親を退治して、必ず、迎えに来るらしいよ‼
そんな、母親だ。
理解させるのは、相当、時間が掛かるだろ?
気長に此処で、待って遣ったら良いよ‼」
「有難うございます。
でも…?」
「こんな状態で、子供を抱えて、何処で、生活するつもりだい?
乗った船だよ‼
そう簡単には、沈没させないから、安心しな‼」
「………」
私は、“これ以上、先生にご迷惑をお掛けする訳には…。”と、思って居たが…。
先生に諭された。
「今、“乗った船…。”と、言っただろ?
“沈没させない。”とも、言った筈だよ。
意味が分からなかったのかね?」
「いいえ、そんな事は…。」
「じゃあ、何処にも行かず、此処に居れば良い。
此処なら、誰に、遠慮する事も無いんだから…ね。」
「有難うございます。」
優紀は、感謝した。
其れから、どれ位経った頃だろう?
家元が、私を訪ねて来られた。
「優紀さん、申し訳無かったね。」
「いいえ、私には、救って下さった先生がいらっしゃったお陰で、救われました。」
「そうらしいね。
私の孫は、元気かな?」
「はい、元気です。」
「どれ位に成った?」
「もう直ぐで、産まれて半年です。」
「そうか、可愛い盛りだな。
男の子と女の子の何方だった?」
「男の子です。」
「会わせてもらえないかな?」
其処に、先生が、部屋に入って来られ、家元に言って除けていた。
「それは、厚かましくは、御座いませんか?」
「何故でしょうか?
私の孫ですよ‼」
「それは、如何ですか?
まだ、戸籍の無い子ですから…ね。」
「それは、何と…?」
「仕方ないでしょ?
優紀の籍に入れさせたくとも、“入れれば、居場所がバレるし、子供を産んだ事がバレ
るから…。”と、子供の籍を入れようとしない優紀を、如何遣って、咎めれば良いので
しょうね?」
家元は、絶句していた。
私は、如何すれば良いのか?
悩んでいた。
そんな時、家元より、提案をしてくれた。
「優紀さん、もう、居場所もバレて居る。
もう、優紀さんに子供が居る事も分かって居る。
西門の子を、籍の無い子には出来ん‼
今直ぐ、孫の戸籍を作って遣りたい。
如何だろうか?
総二郎を許して遣ってはくれないかい?」
またもや、私が、答える前に、先生が、家元に言って除けていた。
「それは、ちょいと、可笑しくは無いだろうか?
貴方の奥さんが、優紀を煙たがったんでしょうが…?
謝らせる相手は、息子じゃないよ。
奥さんだろ?
どんなに、偉い家系かは知らないが…。
悪い事をしたり、人を傷付けたら、きちんと、謝る。
小学生でも知ってる事でしょ?」
またもや、家元は、絶句していた。
先生は、家元をも、対峙していた。
凄い~~‼
凄過ぎる~~‼