出会ってしまった…<つかつく> 13.
<つくしside>
私は、戸惑いしか無かった。
専務の私に対する不必要なまでの執着振り…。
此れは、一体、何なんだろう?
確か、私が、F3と桜子から聞いて居た話しは…。
専務は、“NYでは、『ゲイ』と、勘違いされる程、『女姓嫌い』だ‼”と…。
でも、私には、専務の其れらしい雰囲気は、感じられない?
其れ処か…⁉
私に見せる眼差しは…⁉
何なんだろうか?
甘い…と言うか?
柔らかいと言うか?
私が、聞いて居た噂話は、一切、感じない。
だから、その事が返って、恐怖でしかなかった。
専務は、先にリムジンを下りてからも、私が、下りてくるのを、じーっと、優しい目付きで待って居て下さっていた。
そして、私が、リムジンから、下りようとして居た時、そーっと、右手を出して下さり、支えようとして下さった。
そして、そーっと、支えながら、下りさせて下さった。
そして、尚も、私を専務の真横に置こうと為さる。
下手すれば、SPさんに囲まれて居るからか?
私の手を取り、手を繋ごうとして来る。
しかも、『恋人繋ぎ』と、世間からは言われている、指と指を絡め合う様な握り方をしようとして来る。
公私混同はしない筈…。
仕事中と言う認識は有るのだろうか?
否、例えプライベートでも、付き合って居ない男女が手を繋ぐ事(『恋人繋ぎ』をする事)は、可笑しいだろう?
小学生の時の、フォークダンスじゃないんだから…。
だが、専務は、私の顔を見詰めて来て、幸せそうに笑って来る。
何が、そんなに、専務をそうさせるのだろうか?
私は、分からなかった。
<司side>
俺は、今日の前祝いを兼ねて、牧野をディナーに誘う事にした。
「なぁ、牧野…。
今日の前祝いに仕事の後、ディナーに行かねぇか?」
「申し訳ありません。
今日は、私の親友達と、食事の約束をしています。」
牧野は、速攻、断って来やがった。
もしかして、『男』…じゃねぇよな⁉
否、もしかして、『類』…じゃねぇよな⁉
俺は、牧野の言葉に、苛付いて来た。
そんな時、牧野から、言葉を掛けられた。
「あの~、もう、下がって宜しかったでしょうか?」
「ダメだ‼
牧野、今日は、俺の傍に居ろ?
その『親友達』とやらにも、断りを、今、入れろ‼」
「………、えっ??」
<つくしside>
私は、専務の言葉に驚愕していた。
何故、私は、私のプライベートまで、専務に指示されて居るのだろうか?
何故、そうなるのか?
全く、分からなかった。
だから、はっきり専務に伝えた。
「あの、専務。
お言葉を返す様ですが…。
仕事を退社すれば、それは、仕事ではなく、プライベートな時間です。
私が、誰と一緒に行動しようが、専務に指示される謂われはない筈です。
私のプライベートは、私のモノです。」
<司side>
俺は、牧野の言って居る事は、正論だという事は分かって居る。
だが、牧野の事に成ると、其の正論は、俺にとって、許せねぇんだ‼
だから、今日、ディナーの時に言おうと思って居た言葉を、俺は、牧野に伝えていた。
「牧野、俺は、『お前が好き』、何だ。
否、愛してるんだ。
だから、頼む‼
俺を避ける様な言葉は言わねぇでくれ‼
俺は、お前に避けられれば、苦しくなる。
お前が、俺から、逃げようとも、地獄の果てまでも追い掛けるつもりだ‼
だから、俺から、逃げるな‼」
牧野は、驚愕した様な顔付きで俺を見詰めて来る。
牧野のその瞳(め)に、俺は、また、捕らわれていた。
<13.も、短めで、申し訳ございません。>