記憶の上書き…<総優> 2.
<総二郎side>
此処は、桜子が、仕切っていた。
「って事で、決まりですね。
何処に行きます~?」
牧野と優紀ちゃんは、顔を見合わせて、驚愕して居るだけだった。
牧野は、諦めた様に力説し始めた。
「ハワイは、ダメだよ‼」
T3は、首を傾げて居た。
桜子が、聞き出した。
「何故、ダメ、何ですか?」
「だって、子供の頃からの夢で、“新婚旅行は、ハワイに行きたい‼”って、思って居たか
ら…。
先に行っちゃうと、感動が薄れるでしょ?」
「何ですか、其れ…?」
優紀ちゃんは、思い出した様に話しし出した。
「そう言えば…?
中校生の頃、良くそんな事、言ってたよね、つくし…?」
「うん。」
滋は、“うん、うん。”と、言いながら、牧野に賛同して居た。
「子供の頃の夢って、女の子にとって、いつまでも、忘れられないもんだもんね?」
「うん。」
司の顔を見れば、牧野を愛しそうに見詰めてた。
司と牧野の新婚旅行は、『ワイハ(ハワイ)』で、決まったな‼
桜子が、また、仕切り出した。
「じゃあ、何処にします?」
滋は、何を考えてんだぁ~?
司の額に、青筋が入ってんぞ‼
「今の日本の季節だったら…?
やっぱり、常夏に行きたいよね?」
一応、牧野は、司の方をチラ見してんな。
流石に、司の動向は、分かってんだろうな?
牧野は、言い辛そうに、滋の問いに返答していた。
「常夏…?
う~ん、良いけど~?」
「だって、水着着て、プールサイド…。
良いんじゃない?」
おいおい、滋…?
司の顔を見て、喋ってるんか?
もう、限界に近ぇ位の青筋が、司の額に出てるぞ‼
ほら、野獣が吠え出したぞ‼
「滋…?
お前、黙ってろ‼
つくしは、行かせねぇからな‼
何が、水着だ?
プールサイドだ?」
司は、興奮して、段々、大声に成っていた。
其処で、ソファに寝て居た筈の類が、むくっと、起き出して、飄々と言い出した。
「じゃあさぁ、カナダは…?」
滋は、類の話しに乗り出した。
「えっ、それ良いじゃん‼」
あっ、そうか?
高校の時のカナダ旅行の時は、まだ、滋と俺等 F4&T3は、知り合ってなかったっけ?
流石に、優紀ちゃんと桜子は、怪訝な顔をして居た。
特に、桜子の顔は、険しそうだな?
まあ、カナダ旅行の時は、桜子の『黒歴史』時代だったもんな?
で、類は、場の空気を読まず、それでも尚、飄々と、言って居た。
「司ん家(ち)の別荘は…?」
優紀ちゃんと桜子は、尚も、険しそうな顔をし始めた。
“司は…?”と言えば、席を立って、嬉しそうに、牧野の背後から、牧野の身体を抱き締めて、言って除けていた。
「俺とつくしの思い出の別荘だから、俺とつくしは、カナダで、良いよな?
なぁ、つくし…?」
牧野は、微妙な顔付きだけど…な。
テーブルを挟んで、向かい合わせに座っていた優紀ちゃんと桜子が、“如何する?”って、的な顔付きで、顔を見合って居た。
其処に、流石、あきら…‼
纏めに入っていた。
「カナダ旅行には、優紀ちゃんと桜子は、良い思い出がねぇだろ?
だから…よ。
“『記憶の上書き』…をしに行く‼”って、考えるのは、如何だ?」
優紀ちゃんと桜子が、ハモった。
「「『記憶の上書き』…ですか?」」
「そうだ‼」
また、優紀ちゃんと桜子が、顔を見合わせていた。
あきらは、尚も、続けた。
「あの頃と、今とじゃあ、随分、俺等の仲間としての拘わりも変わって来てるだろ?
あの頃は、唯、司が、牧野に夢中だったってだけだったけど…よ。
今じゃ、司と牧野は、遠恋を乗り越えて絆の深まった恋人同士だろ?
それに、あの頃には居なかった滋が、今じゃあ、仲間だろ?
だから、思い出事態を変える事も、良いんじゃねぇ?」
牧野が、首を捻りながら、聞いて居た。
「其れって、F4も、一緒に来るって事…?」
司が、牧野を背後から抱き締めたまま、言って除けていた。
「ったりめぇだろ?
何、言ってんだ?
俺が行かねぇと、別荘に入れねぇぞ?」
「………」
牧野は、言い返せずに居た様子だった。