記憶の上書き…<総優> 3.
<総二郎side>
で、牧野と優紀ちゃんの卒業旅行は、『カナダ旅行』と決まった。
で、司ん家(ち)のPJで、司ん家(ち)の別荘滞在と決まった。
俺は、カナダ旅行が、決まってから、数日後に、あきらん家が経営して居るレストランの個室に、何故か、類とあきらに、呼び出された。
そして、俺は、類とあきらから、『カナダ旅行』の事を諭されていた。
“何なんだよ?”と、思う、俺が居た事は確かだった。
「総二郎…?
これがチャンスだぞ?」
「はぁ~??」
「総二郎…?
如何いう意味で、俺とあきらに呼び出されたかは、分かってんでしょ?」
俺は、分かってても、知らねぇ振りを押し通そうとして居た。
けど、相手は、上手だった。
「何の事だよ?」
「へぇ~??
総二郎…?
ほんとに、分からない訳じゃないでしょ?」
「だから、何の事だよ?」
類とあきらは、呆れた様に、俺を諭し出した。
「あのな、今回も、優紀ちゃんが来んだよ?
今、総二郎の中では、優紀ちゃんは、唯の仲間じゃねぇだろ?」
俺の気持ちは、あきらと類に、バレて居る事は、重々、分かって居た。
「何なんだよ?」
「ねぇ、総二郎…?
何で、俺が、旅行先を『カナダ』って、言ったか…?
総二郎は、分かってるよね?」
「………」
何も、答え様としねぇ俺に、あきらも参戦して来た。
「あのな、俺も、何の為に、あんなキザなセリフを言ってまで、『カナダ旅行押し』した
か…?
総二郎は、分かってんのか?」
「………」
「総二郎、お前な?
此処で、決めねぇと、もう、優紀ちゃんに、総二郎の想いを伝える事は出来ねぇかも知
れねぇんだぞ?
それでも、良いのか?」
良かねぇよ。
良かねぇけど…?
言えるかよ…今更?
そうなのだ。
俺は、優紀ちゃんを随分と傷付けて来た。
で、俺が優紀ちゃんを傷付けた最大の俺の言った言葉は…。
「此れからは、仲間って事で、宜しくな‼」だった。
優紀ちゃんは、俺の言葉を守って、ちゃんと、仲間に徹してくれていた。
俺と優紀ちゃんの過去は、誰にも、一切、言わず…。
なのに、優紀ちゃんが、どんどん綺麗に成って行く姿に、嫉妬していた俺が、存在していた。
じゃあ、何故、あの時、俺は、“ちゃんと付き合おう‼”って、優紀ちゃんに言えなかったのか?
だから、今更、言えねぇんだよ。
言えるかよ?
あの頃の事が有る以上、“俺は、『優紀ちゃんが、好きだ‼』”って、言葉を出したくても、俺は、優紀ちゃんに、それ以上、言えねぇんだよ。
だから、類とあきらの行動は、『有難迷惑』に過ぎねぇんだよ。
だからって、俺だけ、カナダに行かねぇって選択肢も、俺の中ではねぇ‼
曖昧な態度で、気持ちで、優紀ちゃんに接してる事も、十分過ぎる位ぇ、分かってる。
けど…だからって?
今更だろ?
如何するよ、俺?
そう思って居た時、あきらが言って来た。
「総二郎…?
偶には、素直に成れよ?
いつも、格好良い総二郎だけしか、優紀ちゃんに見せてねぇだろ?
汗かいてみろよ?
司みてぇに、じたばたしてみろよ?
優紀ちゃんに、格好悪ぃ総二郎も見せてみろよ?
其れ位ぇして、やっとだろ?
汗もかかない。
じたばたもしねぇ?
そん何じゃあ、優紀ちゃんに、総二郎の想いは伝わらねぇんじゃねぇのか?
これが、最後のチャンスだと思って、遣ってみろよ?」
あきらのこの言葉は、かなり、俺の心を揺さ振って居た。
其れじゃあ、遣ってみますか?
<3、は、少し、短めで、申し訳御座いません。>