【『Once again~再び~ 13.』 と 『Once again~再び~ 15.』 のエピロー
グ】
〈F4〉・〈つかつく〉
道明寺家では、新年が明けて直ぐの『道明寺HD主催の新春パーティー』が滞り無く済み、また、西門家では、新年早々の『初釜』を終えた事で…。
司 と つくし夫婦と、自身達の娘で在る 柚…。
そして、総二郎 と 優紀夫婦と、自身達の娘で在る 真紀…のそれぞれの家族生活が、漸く、板に付いて来たそんな頃の事…F4は、久し振りに、東京メープル内に在る ラウンジに集合したのだった。
其れは、1月中旬の或る日の出来事…だったのだ。
実の事を言うと、司がつくしだけの記憶を失って居た事で、司はNYに渡米後、一切、日本に帰国して居なかった事も有り、また、実際は、三条家にてお世話に成って居ただけの話なのだが、類にとっては、“俺に何も言わず、牧野が行方不明に成った。”と、勘違いを起こしてしまい、不貞腐れたという訳では無いのだろうが、英徳大学に進学して暫く経ってから、類の父親で在る 花沢物産 社長の指示に寄り、類は、フランスに渡仏して居たのだ。
だからだったのだ。
総二郎 と あきらの二人は、時間が合えば、二人だけで会い、酒を酌み交わして居たのだった。
だが、司がつくしの記憶を取り戻した事に寄り、日本に帰国して帰って来た今…。
そして、類もまた、あきらから「牧野が見付かった。」と、連絡を受けた事で、『道明寺HD主催の新春パーティー』に出席する事を機に日本に帰国して帰って来た事で、「久し振りに、F4だけで会おうぜ‼」と、言う事に成ったのだ。
だからだったのだろう。
此の日のF4の話題は、必然的に、つくし と 優紀の話題に成って居たのだった。
先ずは、珍しく、総二郎から口火を切って来たのだった。
「司…知ってるか?」と、司に問い掛けるかの様に…。
だからだったのだ。
此の時の司の顔付きは、“何の事だ⁉”と、でも言いた気な顔付きに成り乍らも、自身に問い掛けて来た総二郎の方を向きつつ、総二郎に訊くのだった。
「何の事だよ⁉」と…。
其処で、総二郎は、徐に、司に訊き始めるのだった。
「優紀から聞いたんだけど…な。
牧野 と 優紀が三条家で世話に成って居た事は、司も知ってるだろ?」と…。
だからだったのだろう。
此の時の司は、総二郎からの問い掛けに頷き乍ら、即答するのだった。
「ああ、つくしから話しを聞いて知ってる。
つくしが妊娠してる事が三条にバレたんだろ。
で、つくし と 柚は、三条家で世話に成ってた。」と…。
其処で、総二郎は、「ああ、そうだ。」と、司に返答し乍らも、其の先の話を話しし始めるのだった。
「実は、同時期に、牧野 と 優紀が妊娠したと分かった時点で、桜子の祖母さんが牧野
と 優紀の両親を三条邸に呼び出したらしい。
で、其の時に、牧野 と 優紀の両親は、自分達の娘が妊娠して居る事を知った。
だからだったんだろうな。
牧野 と 優紀の両親は、自分達の娘に、お腹の子を諦める様に諭し始めたらしい。
勿論の事、牧野 と 優紀は、“産みたい(てぇ)!”と、それぞれの両親に懇願したそう
だ。
だが、牧野 と 優紀の両親は、自分達の娘に訴え掛けたらしい。
“産んだ後の事を考えなさい!
10代の若さで赤ちゃんを産むだ何て…。
産んで、子育てする事は、遊び や お飯事(おままごと)では出来無いのよ!
だから、赤ちゃんは諦めて頂戴!”って…な。
云わば…牧野 と 優紀の両親からして視れば、牧野 と 優紀が、俺等のガキを産む事
は、“反対だ‼”って、言ってる様なモン…だったんだろうな。」と、伏し目がちに…。
【実は、優紀は、自身の夫と成った 総二郎に話しする際に、自身の母親から言われてしま
った全ての話しを其のまま伝えるのでは無く、総二郎を傷付けない程度に集約して伝えて
居たのだった。
何故なら…。
自身の母親の言葉を其のまま伝えた事で、自身の夫と成った 総二郎を傷付ける事に成る
かも知れないし、何より、自身の母親を『悪しき女性(ひと)』と思われたく無かったか
らこそ、此の時の優紀は、自身の母親から言われてしまった話しを集約した状態で総二郎
に伝えて居たという訳…だったのだ。
云わば…。
名前の如く、其れが、『優紀の優しさ』…だったのだ。】
だが、そんな話しを総二郎から聞いてしまった此の時の司は放心状態と成り、勿論の事、其れ以上の言葉が出て来なかったのだ。
だからだったのかも知れない。
自身の話しを聞いた司がそんな状態に成る事を予想して居たで在ろう此の時の総二郎は、密かに、独り言ちて(ひとりごちて)居たのだった。
“まぁ~、仕方がねぇだろうな。
俺も優紀からそんな話しを聞かされた時、一瞬、司みてぇに成ったモンな!”と…。
其れでも、“司に其の話の続きを話さなければ成らねぇだろうな。”と、悟って居た総二郎は、更に、徐に、司に話しし始めるのだった。
「ところが、そんな様子を見て居た桜子の祖母さんが牧野 と 優紀の両親を諭し乍ら、其
の後は、牧野 と 優紀の両親への懇願を、唯、黙ったまま聞きつつ、桜子の祖母さんが
牧野 と 優紀の両親に言ってくれたらしい。
“私(わたくし)がつくしさん(牧野)と 優紀さん(優紀)の後ろ盾成ります。”っ
て…な。
だから、今迄もそうだったのかも知れねぇが、司 と 俺は、当然、尚の事、此れからも
此れ迄以上に桜子の祖母さんには頭が上がらねぇって…話だわ。」と…。
だからだったのかも知れない。
其処迄、総二郎からの話しを聞いて居た此の時の司は、「マジか‼」と、言う言葉以外に出て来なかったのだ。
其処で、あきらが口を開くのだった。
「そう言えば…。
総二郎は、『真紀』の名前の由来について、優紀ちゃんから話しを聞いたんだよな?」と…。
実は、勿論、此の時点に於いての総二郎は、あきらが不思議そうな顔付きで此方を見て来る事は承知して居たのだ。
だからだったのかも知れない。
此の時の総二郎は、“あきらからの話しを聞いてから…。”と、思い、態と、返答の言葉だけに留めて置いたのだ。
「ああ、優紀から聞いた。」と…。
実は、そう言い乍らも、此の時の総二郎の顔付きは、少し、不貞腐れ気味…だったのだ。
其処で、此の時のあきらは、自分自身が不思議に感じて居る事を、勿論の事、そんな総二郎に訊き始めるのだった。
「否、実は…な。
桜子から聞いて居た事が有ったんだわ。
“優紀さんから聞いたんですけど…。
如何も、優紀さんは、西門さんに(真紀の名前の由来について)全てを話ししてしまっ
た様ですわ。
なのに、西門さんが私に全然怒って来ないんです。
不思議だと思いませんか?”って…。
勿論、俺も、桜子からそんな話しを聞いて、不思議に思えた事は確かだよ。
何で、総二郎は、知ってて何も言わねぇんだ⁉」と…。
だからだったのだろう。
此の時の総二郎は、其の件に関してだけは、何時(いつ)もの様なお巫山戯(ふざけ)無しで、素直に、あきらに返答の言葉を伝えるのだった。
「俺だって、桜子に言いてぇ事は山程有るし…よ。
怒りてぇ気持ちは山々…何だが…。
優紀から『真紀』の名前の由来の話を聞いてると、俺は悟ったんだわ。
“桜子は、優紀の事を想い、こんな俺に対して、宣戦布告して来たんだろうな。”って…。
だからこそ、俺は怒るに怒れなく成った。」と…。
其処で、此の時のあきらは、そんな総二郎の言い分を聞いて居て、密かに、独り言ちる(ひとりごちる)のだった。
“成る程…な。
そう言う事か!
しかし、総二郎も、随分、大人に成ったよな。”と、染み染みと…。
そして、此れ迄、唯、ソファに寝っ転がったまま寝たフリをして居た類が、面白そうにし乍らも、急に、総二郎 と あきらに訊き始めるのだった。
「で、『真紀の名前の由来』って、どんな話なの?」と…。
だからだったのだ。
類から話しを切り出された此の時の総二郎 と あきらが『真紀』の名前の由来について、話しし始めるのだった。
そして、そんな話しを総二郎 と あきらから聞いた此の時の類は、口には出さず、密かに、独り言ちて(ひとりごちて)居たのだった。
“流石、『T4の策士』の三条らしいね。”と…。
だからだったのだろう。
そんな総二郎 と あきらの会話を傍から聞いて居た此の時の司は、総二郎 と あきらの二人の会話が途切れた時点で、自身の訊きたかった事をあきらに訊き始めるのだった。
「なぁ~、あきら…。
『柚』の名前の由来は、聞いてねぇか?」と…。
其処で、あきらは、司の方を向いて言い始めるのだった。
「勿論、聞いてるぞ‼
けど…な。
『柚』の名前は、牧野が名付けたらしくて…な。
俺から訊く寄りも、直接、牧野から聞いた方が良くねぇか?」と…。
だからだったのだ。
司自身も、“其の方が良いな。”と、思えた事で、そんな自身の考えをあきらに伝えるのだった。
「ああ、俺もそう思う。
だから…よ。
(道明寺)邸に戻ったら、俺からつくしに訊くわ。」と…。
そして、此の場がお開きに成り、道明寺邸に帰邸した後の司は、徐に、つくしに訊き始めるのだった。
「さっき、『真紀』の名前の由来の話を聞いて来たんだが…。
『柚』の名前の由来は、何だ⁉」と…。
だからだったのだ。
此の時のつくしは、自身の夫と成った 司に、自身達の娘で在る 『柚』の名前の由来について、話しし始めるのだった。
「柚は、月末だと言えど、一応、12月生まれでしょ!
『12月に咲く花』を調べて居たら、『柚』と言う字が目に入って来て、“此れだ!”って、
思えたの。
実の事を言うと、『柚』の花言葉にも心惹かれるモノが有って…。
実は、『柚』の花言葉って、『健康美』・『汚れなき人』って、言うらしいの。
『柚』には『柚』の花言葉通り、『汚れなき人』に成って欲しいの。
云わば…『素直で、無邪気で、純真無垢で、純真な穢れ(けがれ)の無い女性(ひと)』
に成って欲しいのよ!
だからこそ、娘の名前を『柚』って、名付けたの。
其れに、道明寺家の女性の名前って、私もそう何だけど、植物とか、花の名前でしょ!
一応、柚も道明寺家の血を引く娘だから、植物とか、花の名前から選ぼうと考えて居た
の。
だから、娘の名前を『柚』って、名付けたのも有るんだけど…ね。」と…。
其処で、つくしは、自身の背後から抱き締めて来た自身の夫と成った 司が泣いて居る事に気が付き、司の顔を見様としたのだが見る事が出来無かったのだ。
だからだったのだろう。
其の代わりに、自身の夫と成った 司に訊き始めるのだった。
「司…私の話し、ちゃんと聞いてるの?」と…。
だからだったのだ。
此の時の司は、「ああ…。」と、言い乍らも、自身の泣き顔を見られたく無いのか?
つくしからの話しを聞いただけで泣いてしまった事で、照れ隠しをして居るつもりなのか?
将又(はたまた)、つくしからの話しを聞いて、自身の妻と成った つくしの気持ちが嬉しかったからなのか?
兎に角、此の時の司は、自身の妻と成った つくしからのそんな話しを聞いただけで泣いてしまった自分自身をつくしから隠すかの如く、更に、つくしをきつく抱き締めたのだった。勿論、此の時のつくしは、苦しがって居たのだが…。
PS.
実は、其の後の類 と 総二郎は、あきらを呼び出して迄、つくしが名付けたという『柚』の名前の由来について、“聞いて置きたい(てぇ)!”と、考えて居たのだ。
そして、あきらを呼び出した其の後の類 と 総二郎は、つくしが名付けたという『柚』の名前の由来について、あきらから話しを聞いて居たという訳…だったのだ。
だが、実は、其れだけでは無かったのだ。
実は、あきらは、桜子から聞いて居た話しを総二郎に話しして聞かせて居たのだった。
「実は、真紀の誕生日は、“『12月3日』じゃ無かったかも…。”って、桜子が言ってたわ。
で、俺が桜子に其の理由(わけ)を聞けば、“実の事を言うと、真紀ちゃん(真紀)の誕
生日は、優紀さん(ちゃん)の出産予定日…だった筈の1月の始め頃…だったのかも知れ
ません。”って、桜子が言ってたんだわ。
其れが、少し、優紀ちゃんの出産が早まった事で、偶々、真紀の誕生日が『12月3日』に
成ったそうだ。
偶然そう成ったって…やつだな。」と…。
其処で、其処迄、あきらからの話しを聞いて居た此の時の総二郎は、唯、優紀の事を心配そうにあきらに訊き始めるのだった。
「って事は、優紀の出産は、早産…だったのか?」と…。
だが、そんな風に、此れ迄、焦って居る様な顔付きの総二郎を見た事が無かったあきらだけでは無く、何故か、類もまた、クスクスと、笑い始めるのだった。
そして、あきらは、微笑み乍ら、総二郎に言って除けるのだった。
「心配し無くても大丈夫だぜ‼
優紀ちゃんは、早産で出産した訳では無いみてぇだから…。
後の話は、優紀ちゃんから話しを聞いた方が良いんじゃねぇか?」と…。
だからだったのだ。
其の後の総二郎は、優紀から話しを聞いた事で、早産で出産した訳では無い事を確認出来て、実は、ホッとして居たのだった。