1season女…<あき桜> 11.
<桜子side>
私は、先輩からのLINEの内容に、驚愕していた。
『桜子…?
今日、空いてる?』
『空いてますけど…?
今日って、何か、有りました?』
『うん?
あのね、今日、飲まない?』
私は、先輩から、“飲まない?”って、今までに、聞かれた事が無く、面食らって居た。
『先輩、飲めないでしょ?
如何したんですか?
何か、有ったんですか?』
『うん?
あのね…?』
先輩のその言葉は、“先輩、滅茶苦茶、言い難そうですけど…?”と、私を不安にさせていた。
『うん?
今日ね、司から言われたんだ。
“このままで、いつまでも言い訳ねぇだろ?”って…。』
私は、先輩からのLINEを読んで居て、首を捻っていた。
“まさか、道明寺さんと先輩に何か有ったのだろうか?”と、更に、不安に成って居たからだった。
私が、『既読』したにも拘らず、返信に躊躇して居ると…。
先輩からLINEが、入って来た。
だが、私の事だったらしい。
私は、ある意味、ほっとしてしまっていた。
『だからね…。
司と私と美作さんと桜子で、“飲まねぇか?”って、言ってくれてね?
如何…桜子?』
私は、暫く、自室で、呆然と携帯を見て居たと思う。
あの時の私は、あのまま、ラウンジのVIPルームを出たままに成って居る事を思い出していた。
で、私も思って居た。
そして、“このままで、良い訳ないよね?”と…。
だから、先輩にLINEの返信を入れていた。
『分かりました。
宜しくお願いします。』と…。
<あきらside>
俺は、取り敢えず、桜子に会って、桜子の俺への率直な気持ちを聞こうと思って居た。
其れには、やはり、牧野の力を借りねぇといけねぇとは、思って居た。
だから、司の方から、声を掛けてくれた事は、俺にとっては、万々歳では在った。
けど、桜子は、如何思って居るんだろう?
その事だけが、俺の心に重く伸し掛かっていた。
そして、司と牧野と俺と桜子の4人の飲み会の日が来た。
俺は、何故か、気が急いて居たのか?
時間より、早目に着いてしまった。
其処に、桜子も早目に着いたのか?
ラウンジのVIPルームに入って来た。
俺は、桜子を直視出来ずに居た。
勿論、桜子も、俺を見ようとはして居なかった。
けど、俺から、声を掛けてみた。
あの時の桜子と一緒に居た俺が感じた居心地の良さは、俺の思い過ごしだったのか?
確認したい気もしていたからだった。
「桜子…?
この前は、悪かったな?
俺が追い掛けずに、あの後、牧野に任せちまったから…な?」
「………」
桜子は、俺の言葉に『目が点』状態だったみてぇだ。
桜子は、暫く、答えないで、俺をじーっと、見続けて居た。
「桜子…?
如何した?」
桜子は、はっとした様に俯き出した。
そして、俺に言葉を告げて来た。
「いいえ。
私も、行き成り、跳び出す様な事をして、すみませんでした。」
俺は、桜子に訊きたかった事を、桜子から訊き出そうとしていた。
「なあ、桜子…?
あの時の、桜子の言った言葉が全てなら…?
桜子は、俺に癒しを求めてるって思っても良いんだよな?」
「………」
俺のその言葉に、桜子は、黙ったまま、顔を上げて、吃驚した様な表情を醸し出していた。
だから、俺は、続けて、言葉を出して居た。
「そうだよな?
言い変えれば、俺に、“癒して欲しい‼”って、桜子は、思ってんだよな?
違ぇか?」
「えっ??」
桜子は、吃驚した様な顔付きをして、それ以上、言葉を発しなかった。
けど、この空間が、やっぱり、俺には心地良い事を、俺は、悟っていた。
桜子となら、言葉を交わさなくても、格好良い男を演じなくても…。
桜子は、俺自身を受け入れてくれると、何故か、思ってしまった。
だから、桜子に懇願する俺が居た。
「なあ、桜子…?
俺は、どれだけ、牧野みてぇに、桜子を癒せるかも分からねぇ。
けど、俺は、俺成りの癒し方で、“桜子を癒して遣りてぇ‼”って、思ってる。
だから、桜子…?
俺を選んでくれねぇか?
ダメか、桜子…?」
「………」
桜子は、更に、驚愕してしまったのか?
そう言われると思ってなかったのか?
其れは、定かではねぇが、黙ったまま、暫く、俺を見て居るだけだった。