従兄妹物語…番外編 ~大河原滋 編~ 後編
私はもう、言うしかなかった。
「つくし、動揺しないで聞いて欲しんだけど…。」
「うん、分かった。」
「『恭二さん』なの。」
「はぁ~??
恭兄って…事?」
「うん、ごめんね。」
「えっ、何で、滋さんが謝るの?
びっくりはしたけど…。
恭兄って、俺様の自己中だよ?
良いの?」
優紀と桜子は、“それって、つくし(先輩)も…だよね⤵。”って、思いながら、優紀と桜子、二人、顔を見合わせていた。
「そうか、恭兄かぁ~?」
恭兄…とは、名前を恭二と言い、総二郎とつくしの母方の従兄妹。
総二郎の母親とつくしの母親の姉妹の兄の息子。
家系は、政治家一族の出身。
この事からも分かるように、西門家は古くから、政治家と、密に関わって来た。
恭兄は次男で、総二郎の兄の祥一朗と同じ年。
恭二の兄で長男は『陽一』と言い、恭二の父親の地盤を継ぐ為に、既に、父親の公設秘書を勤めている。
また、陽一には婚約者が居て、つい最近、陽一の婚約パーティーをした処で有る。
「実は、恭二さんとは、パーティーで知り合ってね、同じ永林学園って事で、意気投合し
て、話しているうちに、私が好きになってしまっていたみたいなの…。」
つくしは思い出したかのように言った。
「あっ、そうだったよね。
恭兄は永林学園だったよね。」
「うん、“周りが英徳学園ばかりだから嬉しい。”って、言ってたよ。」
「そうなんだよね。
企業経営者の子供は英徳学園出身者が多いらしいけど…?
滋さんは永林学園だったんだね?」
「うちは、代々、永林学園らしい…。」
「ふ~ん、そうなんだ…。」
つくしは誓った、滋の為に…。
「滋さん、何か有ったら言って…。
フォローするよ‼」
「うん、有難う‼」
「「良かったね、滋さん、」」
滋は初め、桜子を怪訝に思っていたが、心で桜子に謝っていた。
「桜子、有難う‼」
優紀と桜子は滋の春が早く来る事を祈っていた。