kisshug…<つかつく> 5.
<一部ショッキングな内容があります。 不快に感じられましたら、お詫びします。>
<楓side>
楓は、今までのつくしとの経緯(いきさつ)を思い返していた。
事の発端は、司がつくしを好きに成った事に端を発していた。
最初は、つくしからではなく、司からだった。
私(わたくし)は何に拘っていたのだろうか?
私(わたくし)は思い出そうとしていた。
あの娘を憎む様に成った事の発端を…。
司を奪われる事が許せなかった。
自分が気に入った女性を司に宛がえば、何時までも司は私(わたくし)の意のままだと思っていた。
司が変わって行く事が許せなく、変わって行ったのはあの娘の責任だと一方的に責任を押し付けた。
あのタマまで、籠楽したあの娘が許せなく、タマの声にも耳を傾けなかったのは事実。
私(わたくし)のせいだと言うの?
少なくとも、司の親友達はそう思っているって事よね?
『司を救い出せるのはあの娘だけ…?
じゃあ、遣ってもらっても良いかも知れない。
出来なければ、あの娘を完全に司から引き剥がすのみ。』
そう考えた私(わたくし)は、直ぐ様、イギリスに飛んだ。
そして、つくしに会い、司の親友達が言う呪縛を解く事にした。
「つくしさん、司を救い出して欲しいの。
あなたなら、出来るわよね?」
「………」
「それとも、出来ないとでも、仰るのかしら?」
「………、道明寺社長、あなたは、自分勝手なお方ですね?」
「如何いう意味かしら?」
「道明寺社長は、私に御子息から離れろと、仰った。
次は、御子息の傍に居ろと、仰る。
その次は、御子息が回復すれば、また、御子息から離れろと、仰るおつもりですか?
もしそうなら、初めからお傍に居ない方が良い。
御子息にはこんなにご立派なご両親が就いていらっしゃって、お医者様もいらっしゃ
る。
私には、何のお力にも為れません。」
「………」
「では、失礼致します。」
あの娘に挑戦状を叩き付けたのに…、私(わたくし)に叩き返して来るとは…。
そうだったわね、あの娘はそう言う娘だったわ。
あの娘が、そう言うなら、私(わたくし)で、司を何とかして遣るべきよね。
道明寺総合病院に着いて、直ぐ、医者に会いに行った。
「楓社長、御子息の生命維持の補償を保つ事は、これ以上は難しいでしょう。
御子息はかなり衰弱されております。
お声を掛けて差し上げて下さい。」
私(わたくし)は仕事の合間を縫って、三日三晩、司に声を掛けているが一向に反応がない。
医者も成すすべが無いといった感じか?
「楓社長、御子息は何方かお待ちではないでしょうか?
御子息は楓社長をお待ちではないかと、私は思っておりましたが、違うようですね。」
「………」
私(わたくし)は、何も応える事が出来なかった。