記憶を失って…<つかつく> 2.
あれから、1年半程経った時、家業で有る花沢物産の仕事の為、類がNY出張をして来た時、司は類に呼び出された。
「久し振りだね‼
如何、大河原とは上手くいってる?」
「はぁ~??
何処に居るかも知らねぇよ‼」
類は驚愕していた。
『“付き合おう。”と、言ったのは、司からじゃなかったの?』と…⤵。
類は何も答えられないでいた。
「………」
類は話しを変えた。
変えて良いものかを迷っていたのだが…⤵。
今の司が、どう動くかを見てみたかったのかも知れない。
「実は、俺、牧野に頼まれて、牧野と付き合って居る事にしていたんだが…⤵。
………、牧野とは付き合って居なかったんだ。」
類は言いにくそうに言っていた。
「司、牧野が高校卒業後、行方不明なんだよ。
家族諸とも居なくなったんだ⤵。
俺達も牧野が居なく成ったと気付いた時、探せば良かったかも知れなかったけど、時間
が経てば、牧野の方から連絡してくると思っていたので、敢えて、此方から探さなかっ
たんだ⤵。」
司は司で驚愕していた。
「まさか、ババア…か?
全て、ババアの策略か?」
類は首を振りながら答えた。
「その線も考えて調べてみたけど、如何も違うみたいだね⤴。」
司は怪訝な顔をした。
『じゃあ、何故、牧野家が行方不明に成る必要が有んだ?』と…⤵。
「滋か?」
また、類は首を振って答えていた。
「その線も無かった。
因みに、大河原家も無かった。」
司は、類が何を言わんとしているのか、全く分からなかった。
「じゃあ、何が原因なんだ?」
「それは、分からない⤵。
唯、言える事は、牧野が行方不明になる前、“英徳大学には進学しない”と、言っていた
んだ。
行方不明に成った原因は其処に有る様な気がするんだよね⤵。」
司はつくしが居なくなったのは、滋が要因ではないかと思う事でこの苦しさから逃げていた。
そして、より一層、滋に辛く当たり、司の企業人としてのNYの評価もダダ下がりに下がっていた。
滋は、この現状を、日本に居る滋の両親に話し、愚痴を溢す様に成っていた。
滋の両親は一人娘の滋が可愛い。
政略結婚ではなく、好きな相手と結婚をさせて遣りたい。
その為なら、何でもして遣るつもりで居た。
しかし、この現状は酷過ぎる。
滋パパは楓に滋からのクレームの連絡を入れていた。
「滋から、連絡が来ましたよ。
如何言う事か、説明してもらえますか?」
そう言って、楓に滋から聞いた詳細を話しして聞かせた滋パパだった。
「道明寺社長が就いて居ながら、司君の現状を打破出来ないのは如何言う事ですか?」
「申し訳御座いません。
司と滋さんは上手く行って居ると思っていたもので…⤵。
至急、お調べして、司から滋さんに詫びを入れさせますので…。」
「宜しくお願いしますよ‼」
楓は目から火が出る思いをしていた。
楓は、至急、司を楓の執務室に呼び出し、事の重大さを分からせようとした。
その上で、大河原社長より聞いた滋のクレーム内容を司に話しして聞かせた。
「このままでは、道明寺HDは破滅です。
婚約者として、滋さんと一緒に行動しなさい。
そして、滋さんを大切にしなさい。」
楓は司に分からせるように言って除けた。
「はぁ~??
『道明寺HD』何て、如何でも良いな⤴。
俺に取っちゃあ、如何でも良いものの一つだな⤴。」
楓は驚愕していた。
「司、貴方、何て事を…⤵。
司、貴方、この世に道明寺HDが無くなっても良いって事?」
「良いんじゃねぇの⤴。
煩わしく無くて⤴。」
楓は眩暈を起こしそうになっていた。
やはり、滋では、猛獣を操作するのは難しかったようだ。
猛獣同士では無理も無いのだが…。
このままでは、『道明寺HD』は笑い者になるだけじゃなく、この世から抹殺されるに値する。
楓は頭を抱えたので有る。
司がNYに渡米して2年、類がNYに現れてから半年が経っていた。