記憶を失って…<つかつく> 15.
つくしが滋を優紀と桜子に会わせる約束の日が来た。
優紀と桜子はつくしと待ち合わせ前に二人で会っていた。
「何か、嫌な予感がしてならないんですよね⤵。」
「やっぱり、桜子さんもそうなんだ⤵。」
「って、事は、優紀さんも…。」
「うん、何と無く何だけど…。
総二郎さんに話したんけど、“気のせいじゃないのか?”って、言われたんだよね⤵。
『気のせい』じゃなくて、『胸騒ぎ』がするんだよね⤵。」
「優紀さんもそうなら、“やっぱり…。”って、事でしょうか?
引っ掻き回されそうで、怖いんですが…。」
優紀と桜子は一斉に溜息を付いた。
「「はぁ~⤵。」」
優紀と桜子は、つくしに、“会う。”と、了承した事を後悔していた。
何故なら、ビンゴだったからである。
「「滋さん‼」」
滋は申し訳なさそうに俯いたままだった。
「な~んだ。
二人共、滋さんとは面識有るんだ⤴。
じゃあ、紹介は良いよね⤴。」
この日は、つくしの手前、和やかに過ごしたが、後日、T2は滋を呼び出し、つくしと会っていた訳を聞く事にした。
「滋さん、約束しましたよね、“先輩の前に現れない様に…。”って。」
「ほんとに、ほんとの話なんだけど、偶然に、関西のパーティーでつくしと会ってしまっ
て…。
共に、二人で挨拶し合って…。
って、二人共、そんな怖い顔で見ないでよ⤵。」
優紀と桜子は、半信半疑だった。
「ほんとに、偶然だったんですか?」
「ほんとのほんとに偶然だったの。
で、今、関西でのつくしの幼馴染とされている男性を、つくしからつくしのパパに伝え
てもらって、つくしのパパに紹介してもらったの。
で、お見合いって形で会って、何回か会ってるの。
まだ、付き合ってないけど、お互い前向きに捉える事にしたの。」
それが本当なら、つくしはまた、苦しむ事は無いのだろうと、思うT2だった。
この事は、優紀は総二郎へ・桜子はあきらへ、それぞれ話しされ、総二郎とあきらから、F2にも伝わった。
司は、耕平が大人しくしている筈が無いと、警戒心を強めると共にF3を呼び出し、このつくしの関西の幼馴染とされる男について話しした。
「じゃあ、警戒するに越した事は無いって事だよね?」
「ああ‼
つくしは、直接、あの男の目の前で、“『頼りに成る兄貴分としか思っていな
い』と言った。”と、つくしからは聞いているが、あの男はチャンスを伺っているとし
か思えねぇんだよな⤵。
お前等、宜しく頼むわ‼」
F3は、そう言う事なら、“協力する。”と、約束した。
「「「了解‼」」」
そして、後日、耕平が東京に出張の際、F4は耕平を呼び出した。
そして、現在も耕平はつくしを想っているのかを確認した。
「つくしに俺の事をどう思っているのかを聞いた時、“『兄貴分』としか思ってな
い。”と、聞いて、ショックだったのは違い無かったが、はっきり言われて、変にすっ
きりしたと言うか、妙に気が抜けたと言うか…。
まあ、つくしは俺には無いって気付けて、今は良かったって思ってる。
そんな時に、滋との見合い話が来て、“嵌めて来たのか?”って、思ったけど、滋からの
オファーだと聞いて、此れも運命かって、割り切ってる。
取り敢えず、今は前向きになろうと思ってるから、安心しろ‼」
本当か如何か疑り深く、耕平を見ていた司だったが、顔付きは何処か寂しそうではあったが、嘘を言っている様には見えなかったので、取り敢えず、様子を見る事にした。
F3も同意した。
その後、何故か、F4&T4で集まる事が増え、自然に其処に滋が居た。
つくしはF4に紹介する気満々だったようだが、F4も知っていると分かると、詰まんなそうにして言って来た。
「な~んだ。
皆、知ってたんだ。
世間は狭いね‼」
つくしの素っ頓狂な物言いに、F4&T2は呆気に取られていた。
滋は苦笑いで在った。
後は、『つくしの記憶が戻れば…』と、思うF4&T2で在った。