もう一度、取り戻す…<つかつく> 7.
司は遅れ馳せながら、つくしの携帯のアドレスを知らない事に気付いた。
昔、司とつくしが高校生の時に、司が渡したガラケーなら番号は分かるが、今更、手元に持っているとは思えず、仕方なしに、つくしの所属部署の広報部に内線TELを入れた。
「広報部です。」
“其処に、牧野は居るか?”
「何方でしょうか?」
司は、名乗れば、つくしが怒るのは目に見えているが、“仕方ねぇ。”と、名乗った。
“支社長の道明寺司だ。”
「支社長??
少々お待ち下さいませ。」
女性社員は、慌てて、つくしに声を掛け、内線TELをつくしの席に回した。
「牧野さん、支社長から内線‼
回すわね‼」
つくしは、“何で内線を利用するかな?”と、心の中で意を唱えながら、“はぁ~⤵。”と、溜息しか出なかったつくしで有った。
「有難うございます。」
そう言いながら、内線の受話器を取ったつくしだった。
「はい、牧野です。」
“つくし、済まん‼
つくしの携帯のアドレスを確認してなかった。
内線にTELした事、怒ってるか?”
司は、“俺が謝るのは、つくしだけだぞ‼”と、心の中でつくしに唱えていた。
「いいえ、致し方ない事だと、思いますので…。
ところで、どのようなご用件でしょうか?」
“今日、会えるよな?”
「はい、可能かと…。」
“19時に地下駐車場に来い‼
待ってるから…⤴。”
「承知致しました。」
つくしは19時に退社して、そのまま、地下駐車場に下りた。
其処には、既に、司が腕組みをしながら、リムジンに凭れて待って居た。
司は、つくしをリムジンの中に招き入れた。
「つくし、来てくれたんだな⤴。
逃げるかと、思ってたぜ‼」
「逃げても、どうせ追い掛けて来るんでしょ⤵。
だったら、逃げ損でしょ⤵。」
「おお、俺から、逃げても、地獄の底まで追い掛けて遣るよ⤴。」
つくしは思わず、“はぁ~⤵。”と、溜息を付いた。
それを司は、見逃さなかった。
「なあ、つくし。
俺の事、如何思ってる?
昔と変わらず、俺を想ってくれてるよな?」
つくしは、如何答えるべきか迷っていた。
つくしは、黙ったまま、俯いて居ると、司から話し始めた。
「つくしが俺を捨てた訳は知ってる⤵。
ババアに言われたからだろ?
俺は、お前を忘れた事は、一度も無かった。
俺は、ぜってぇ、もう一度、お前を俺の傍に取り戻してみせる。
覚悟して於けよ、つくし‼」
そう言いながら、司は、つくしを司の方へ引き寄せて、つくしを抱き締めた。
抵抗する事無く、司のされるがままに、つくしは居た。
そして、つくしが気付いた時には、リムジンは道明寺邸の門を潜っていた。