もう、逃げられない…<つかつく> 短編 番外編
<楓side>
私(わたくし)は、司が乳幼児期の頃から、主人で有る道明寺HD 道明寺会長の命を受けて、道明寺HDの社長として、仕事を手伝う事に成った。
私(わたくし)は、蓋を開けてみれば、『鉄の女』と、異名をとる程に…成っていた。
私(わたくし)は、乳幼児である司を残して、仕事をする事に、当時の私(わたくし)は、後ろめたさが有ったのは事実だった。
私(わたくし)が、仕事をし始めた頃の当時の女性と言えば、女の幸せは、愛している男性(ひと)の子供を出産・育児する事だった。
勿論、仕事をするにしても、共働きの選択をしても、出産・育児は女の仕事だった。
私(わたくし)は、その時代に、仕事に託けて、育児放棄したのだ。
司は、椿とタマからの愛情を受けても、『両親から捨てられた』と、思っていたのだろう。
私(わたくし)との溝は深まる一方だった。
司が中学生の頃に成ると、幼馴染達と『夜遊び』を覚えた。
幼馴染の様に『女遊び』はしないまでも、暴力行為には明け暮れた様だった。
其処で、司の『女性嫌い』が発覚した。
そんな、司が恋をした。
初恋だった様だ。
司の初恋の相手は、英徳学園に在籍して居乍ら、一般家庭の娘だった。
道明寺家には有り得ない。
しかも、その母親は、娘の玉の輿を狙って、英徳学園に入学させたと聞いた。
そんな家庭の娘を嫁になんて、滅相も無い。
私(わたくし)は、あの娘(こ)が、司を諦めてくれるまで、執拗に、苛め抜いた。
更に、司との溝は深まる一方だった。
結果、私(わたくし)の行動は、あの娘(こ)を試していたかの様だった。
まさか、主人が倒れた事で、司自ら、“NYに4年間渡って、学業と仕事を覚え、両立させる。”と、言って来るとは思わずに居た。
私(わたくし)の知っている司なら、“そんな事、俺は知らねぇ‼”と、言って来ると、思っていた。
あの娘(こ)が司を変えてくれたと、実感したのだった。
もう何も言うまいと、私(わたくし)は、思っていた。
あの娘(こ)はあの娘(こ)で、この4年間を無駄にはしていなかった様だ。
現役で、司法試験に合格したのだ。
完全に私(わたくし)は、負けを認めざるを得なかった。
そして、あの娘(こ)を取り込む事に決めた。
第一は、主人があの娘(こ)を認めていたのが、大きかった。
あの娘(こ)は、私(わたくし)に、またしても、戦いを望むような言葉を口にした。
「道明寺HDから、内定通知書が届いたのですが…?
何かの間違いですか?」
私(わたくし)が答える前に、あの娘(こ)の心の声が聞こえて来た。
私(わたくし)は、心の中で、苦笑で有る。
“もしかして、強要入社?”
私(わたくし)は、あの娘(こ)の心の声を聞いて、思わず嗜めていた。
「何が、強要入社ですか?
貴女が道明寺HDに必要だから、取り込む事にしたんでしょ⤴。
いい加減、覚悟をお決め為さい‼
司の彼女を何年為さっているの?」
あの娘(こ)は、私(わたくし)に怒られた事で、俯き、謝って来た。
「申し訳ありません。」
こんな所はまだ、可愛気がある。
そして、あの娘(こ)が道明寺HDに入社後は、主人の命を受けて、あの娘(こ)の配属部署が決まったのだった。
「折角、司法試験に合格したのだから、1年は司法修習生に成る為に、法務部に配属させ
なさい。
で、弁護士資格取得後は、秘書課勤務にして、西田の下に就かせ、道明寺HDの仕事を
覚えさせない。
司と結婚後は、専務にしなさい。」
私(わたくし)と、考えが一致して居た事に驚愕したが、主人もあの娘(こ)を認めて居る事に、“ほっ”と、していた。
こうして、あの娘(こ)も道明寺家の一員に成り、『道明寺つくし』として、司と共に第二の人生を歩む事に成る。
私(わたくし)は、此れで、道明寺家 そして、 道明寺HDの将来は安泰と、安心した。
まだまだ、司とつくしさんの成長を見たいし、今後、生まれて来るで有ろう、司とつくしさんの子供、所謂、私(わたくし)の孫を見てみたいと思っている。
まだまだ、司とつくしさんには負けては居られない。
今後の道明寺HDの将来を見届けるまでは…。
fin