慕情そして恋情…<つかつく> 4.
<楓side>
翼は何も答えようとはしなかった。
私(わたくし)は、成らばと、質問を変えた。
「司が、貴方の父親だと、誰から聞いたの?」
「叔父です。
誰とは聞いて居ません。
ヒントだけです。
ですが、今日の朝のTVの情報番組を見ていて、父親が誰か分かりました。
叔父から父と母の馴れ初めも聞きました。
勿論、貴女の事も…。」
「そう、弟さんから…。
私(わたくし)の事は良くは思って居ないでしょ?」
「はい、“今でも許せない‼”と、言ってました。」
「つくしさんは…?」
「母からは、何も聞いた事は有りません。
泣いて居る所も見た事が有りません。」
「そう、つくしさんらしいわね。
いじらしくて…。
翼にお願いが有るの?
つくしさんに会わせて欲しいの?
無理なのは承知の上…。
司とつくしさんを引き剥がした張本人が何を言っていると思っているでしょ?」
「はい。」
容姿は司に似てるけど、中身はつくしさん似なのね。
曲がった事が嫌いの様ね。
この私(わたくし)に刃向かって来るとは、其処まで、つくしさん譲りとは…⁉
「でも、つくしさんに会わせて欲しいの?
司を、今の司を救って欲しいの?
お願い、翼‼」
そう言って、私(わたくし)は、翼に私(わたくし)のプライベートの携帯番号を記した名刺を預けた。
翼はじーっと、私(わたくし)の名刺を見詰めていた。
「母が何と言うか分かりませんが…。
名刺だけは預けてみます。」
「お願いするわね、翼。」
翼を送る様に秘書に伝えて、私(わたくし)は、翼の事を考えて居た。
司とつくしさんは何時(いつ)?
私(わたくし)には、見当も付かなかった。
だが、司の記憶冴え取り戻す事が出来れば、何もかも解決出来る筈。
その時が来る事が、楽しみで仕方なかった。
~~現在の司は…。
人間味の無い、極悪非道、人を見下して見る所が有り、お金だけで判断する。
平気で約束は破る。
女性嫌いで、近付かれる事を嫌がり、傍にも寄せ付けない。
NY社会では、司はゲイで通っている。
司の評判は下がりに下がり、道明寺HDの評判・株価も下落していた。
その為、役員会で司の解任請求が出ていた。
役員達の言い分は、『これ以上、道明寺HDの評判・株価が下がれば、仕事が遣り難くなるのと同時に、優秀な社員の流失の歯止めが利かなく成る。』と言うものだった。
最もな意見だった。
司にこの事を伝えた楓は、司から言われた言葉に何も言い返せず、驚愕するしかなかった。
「俺が刺された原因は、親父とババアのワンマンな経営に寄るものだろ?
今更、俺だけの責任ですか?
こう成るにはこう成った理由が有る筈だろ⁉
あなた達の経営の仕方を真似ているだけですが…。
俺に経営の仕方を教えたのはババア、あんただろ‼
俺だけの責任にしないで下さいよ‼」 ~~
もう、会長で在る 主人に相談するしかなかった。
私(わたくし)の手には負えないと判断しての事だった。