慕情そして恋情…<つかつく> 23.
<翼side>
最近、祖母さんの『結婚攻撃』がピタッと無くなった。
不思議に思って居たら、理由が分かった。
陰で祖父さんが祖母さんを操ってくれていたと、秘書から聞いて知った。
仕事中、リムジンの中で、祖父さんにお礼を伝える事にした。
「会長、社長の『結婚攻撃』が無く成りました。
有難う御座いました。」
「そうか。
言わなくなったか。
翼、私から、質問しても良いか?」
「はい、何なりと…。」
<保side>
私は一応、翼の結婚感を聞いて於きたかった。
「翼、お前は、結婚について、如何思ってる?」
「結婚はまだ、考えられないかと…?
一応、聞くけど、その質問は、会長として、それとも、祖父として?」
「翼の祖父さんとして…だな。」
「ふ~ん、祖父さんも変わったよな?」
私は怪訝な顔をして翼に聞いていたと思う。
翼に指摘された事にムッとしたのだ。
「私がどう変わったと言うのだ?」
「俺が見た処、祖父さんって、仕事人間じゃなかった?」
「そうだな。
司の幼少期から学生の頃までは特にそうだったかな?」
「それが、俺に、結婚について聞いて来るなんてな?
息子と孫ってそんなに違うもん何だな?」
「かも知れないな。
翼の大人な態度に、初めは戸惑ったが、孫には変わりはないからな。
だが、蘭や翔とは翼に対してと、また、見ている所が違う様に感じるがな。」
「それって、如何いう意味?」
「蘭や翔は、まだ子供だ。
だが、翼は一人前の大人だな。
その違いだろ。」
「ふ~ん、そんなもん。」
翼は、少し、考えてる様子だった。
「翼、楓が心配する気持ちも分からなくはない。
何時までも、未婚だと、社会の信用性も違ってくる。
特に、日本はな。」
翼は、思う処が有るのだろう、何か、頻りに考えてる様子だった。
<司side>
珍しく、親父から、連絡が来た。
「何、珍しい事も有るもんだよな?
親父から、連絡が有るとは…。」
“………”
親父は絶句していた様子だった。
「で、何だ?」
“翼が、結婚に躊躇しているのは、如何も、『父親を知らないで幼少期を過ごしてきた』
と言うのが有りそうだな?”
「………」
“進君だったか?
叔父の立場だろうが、『兄貴的存在だった』って言う位、親と言うのは、母親しか知ら
ずに育っているだろ、翼は…⁉
だから、翼は兄には躊躇せず成れるだろうけど…な。
その先の結婚して、夫に成って、父親に成ると言う事に関しては如何して良いのか分か
らない所が有るのではないのか?
司は、翼と蘭と翔の父親に成ったんだ。
其処は私でも成ってない。
お前には、申し訳無かったがな。
翼に父親として、如何するべきかの手本みたいなものを教えて遣ったら如何かと思って
な。
余計な事だったか?”
「否、そんな事はねぇよ。
サンキューな、親父‼」
“ああ。
私が言うべきではないが、親として、頑張りなさい。”
初めてかも知れねぇな。
親父と、親子の会話をしたのは…。
翼を通してでも、何か、擽ったさを、感じてしまった。
俺は、父親として…。
翼に向かって遣るとするか…。