忘れ欠けていた…<総優> 3.
総二郎は類にバレているなら、類に追及されるのが落ちなので、諦めて話しする事にした。
「ああ、片思い中…。
俺が、惚れた女には、付き合っている彼氏が居る。」
更に、F2は驚愕していた。
何故なら、総二郎は惚れさせる事は有っても、総二郎自ら、恋をする事は無い。
少なからず、F3は、そう思っていたのだ。
F3の考えの中では、全てが想定外なのだ。
其れなのに、『片思い中⁉』
驚愕するなって方が無理が有るのだ。
しかも、彼氏付きの女⁉
F3は、更に、解せないで居た。
今までの総二郎なら、奪いに行くだろう事は想像に容易いのだ。
それが、総二郎は、奪いにも行かず、『女たらし』を返上するに留まっているとは…。
総二郎を其処までにする女性とは、どんな女性なのか、興味を露わにしたF3だった。
総二郎は総二郎で、幼少期から、幼馴染に初恋をし、その後、高校生の頃には、心に蓋をしたとはいえ、心を奪われ掛けていた女性も居た。
誰にも言って居なかっただけで有った。
だから、総二郎は、恋を知らない訳では無い。
唯、西門家の柵のせいで、相手の女性を壊したくなかっただけなのだった。
だから、ちゃらんぽらんが一番性に合っていた。
だが、優紀の存在を思い出した今と成っては、如何いう状況で有ろうとも、一歩も引く気はなかった。
総二郎は、タイミングを見ていただけなので有った。
何処となく雰囲気の似た『更』と『優紀』…。
高校生の頃には、更も認めていた。
更自身の雰囲気に似た優紀の事を…。
そして、その当時の優紀の想い人が総二郎で有る事も、薄々知っていた更だった。
そして、その当時、更は、優紀が更と同じ人を好きに成った事を嬉しく思っていたのだった。
また、総二郎自身も優紀に心を奪われ掛けて居た事も、薄々、更は感じ取っていた。
だから、更は、あの当時、総二郎から、身を引いたのだった。
過去を懐古して居るだけの総二郎と更ではなく、未来の思い出を作って行ける総二郎と優紀に…。
更は、そんな優紀だから、総二郎を託す気持ちにも成れていたのだった。
更の高校の1年後輩だった優紀。
更は、何処か雰囲気の似た優紀を気に入り可愛がっていた。
それが、時を過ぎ、更と優紀は、違う立場での再会。
更は、嬉しく思って居たが、優紀は戸惑いを隠せない様子だった。
てっきり、優紀が総二郎と付き合って居る事を、“私(更)に申し訳なく思って居るのか?と、思って居たのだが…、違っていたのか…?”と、更は、ショックだった。
じゃあ、何故、優紀は、更に対して、園児の保護者としての振る舞いのみで、更を避ける必要が有るのかと、疑いたくなる状況の更だったのだ。
更は、優紀に対して、寂しさを蓄えていた。
だから、総二郎がまだ、優紀を好きなら、応援するつもりで居たし、旦那にも伝えていた。
そして、10月のとある日の幼稚園の運動会…。
更は、総二郎を誘った。
「二郎、彩夏の幼稚園の運動会が、もう直ぐ有るんだけど来ない?」
「えっ、俺、保護者でもねぇのに行っても、如何かと思うけど…⁉
「彩夏のおじさんの振りしてくれれば良いじゃん‼
私と旦那が一緒に居れば、大丈夫でしょ?」
総二郎は戸惑った。
“こんなチャンスは、ぜってぇねぇ‼
じゃあ、如何する?”と、悩みに悩んだ総二郎だった。
優紀に会いたいが、優紀に拒否られたら立ち直れないだろう事は、総二郎とて、自分自身を理解しての事だった。
こんな総二郎は、幼馴染の更で冴え、見た事の無い総二郎だった。
優紀に対して、総二郎の本気度が窺えた更だった。
幼馴染としては、少し、寂しさが感じられた。
弟の巣立ちを見送る姉の様な心境の更だったのだ。
<3.の二次小説の投稿季節が、実際の今の季節と異なっております。
お詫びします。>