忘れ欠けていた…<総優> 11.
優紀の先生から、優紀は話しを聞いて居た。
「優紀さん、家元が、幼稚園でのお茶のお稽古の了承をして下さったの。」
「本当ですか?」
尚も、先生は言い難そうに、躊躇いがちに優紀に伝えた。
「其れには、家元から条件が出されたの。」
「如何言った条件でしょうか?」
更に、先生は、躊躇った。
「実は…ね、“教授として総二郎さんを立させて欲しい。”と、仰って、“補佐に優紀さん
を…。”と、ご指名なの…。」
優紀は戸惑った。
何故なら、毎週、総二郎と顔を合わせる事に成る。
そんな事をしたら、優紀は総二郎から逃げられなくなる。
“やっと、想いを断ち切れた処だったのに…。”と、思わずには居られなかった。
取り敢えず、優紀は類に相談する事にした。
一方、類は、またもや、総二郎に呼び出されていた。
「類、悪ぃな。」
「良いよ。
どうせ、優紀の事でしょ⁉」
「なぁ、類、如何して教えてくれなかったんだ。
優紀ちゃんと従兄妹だって…。」
「総二郎に教えて、如何するの?
優紀はやっと、辛い気持ちから立ち直れて、先に進める様に成った処だったというの
に…。
何故、総二郎は、このタイミングで優紀の前に現れたの?」
総二郎は類の言わんとしている意図が読めなかった。
「『このタイミング』って、如何いう意味だ?」
「優紀は、父さんの紹介で、見合いをして、結婚する予定だったの。
でも、総二郎と再会した優紀の様子が変で、優紀の起伏の激しさに様子を見ようと、俺
が父さんに打診したの。
花沢にとっても、悪い話しじゃないけど、優紀を利用するのも、俺は心苦しかったし…
ね。」
総二郎は、驚愕していた。
一歩、遅ければ、間違いなく取り返しの付かない事に成ってしまって居たのだから、総二郎の驚愕度は、頂点に成っていた。
「類、俺は、優紀ちゃんを愛してる‼
嘘偽りねぇよ。
信じて欲しい‼」
「総二郎、俺が許したり、信じた所で、優紀が許さなければ、信じなければ、意味が無い
んじゃないの?
後は、総二郎が、どれだけ、優紀に償えれるかだよね?
優紀が許さなければ、何も始まらないでしょ?」
「って、事は、類は、俺を応援してくれるんか?」
総二郎は、気分は↑↑だったのに、類の言葉に、気分は、↓↓に成ってしまった。
「総二郎、悪いけど、俺は、総二郎を応援しないよ。
俺は、何処までも、妹分の優紀の味方だから…。」
“身内だから仕方ねぇわな。”と、思う反面、“類の協力が有れば、尚、勝算は有ったも当然だったのに…な。”と、思う総二郎だった。
また、あれから、類は、優紀にも相談を受けていた。
「幼稚園で、お茶のお稽古を開催する事は家元から了承してもらえたらしいんだけど…。
そのお稽古の教授に西門さんがして下さり、補佐は私(優紀)にって、打診されたと、
先生が仰って…。」
優紀は俯いたまま、類に話ししていた。
「優紀は如何したいの?」
「如何したら良いのか、分からないと言うのが本音かな?
西門さんが家元に打診したのかな?」
「それは、無いと思うよ。」
優紀は、“如何して分かるの?”と、不思議だった。
「???」
「昨日、総二郎と会ったばかりだったからね。
もし、総二郎が知っているなら、多分、俺に話ししてくるでしょ?
そんな話し一切なかったし、総二郎はまだ、知らないんじゃない?」
「………」
優紀は、考えあぐねていた。
類は、良い事を思い付いたと、言わんばかりに優紀に提案して来た。
「確か、今度、司と牧野がNYから帰国して、司の日本支社 支社長就任パーティーす
るって言ってたんでしょ?」
優紀は、不安だった。
類の突拍子も無い発想は何時も、優紀は、不安だったのだから…。
「うん、まあ…ね。」
「その時の俺のパートナーを優紀が務めてよ。
で、総二郎の反応を優紀が確かめるって言うのは如何?」
「ええっ‼」
「それで、総二郎の本気度を優紀が確認すれば良いでしょ?」
優紀は、“やっぱり…⤵。”と、思わずには居られなかった。
“本当に、類君の考えは、いつも、意表を付いて来るわ。”と、思う優紀だった。