やっぱり、私は…<つかつく> 21.
<つくしside>
『つくしちゃんプロジェクト』と、名を打って、椿お姉様が、私の成人式の為に、“私を綺麗にして下さる…。”と、私は、椿お姉様から仰って頂いた言葉に恐縮していた。
それに付け加えて、1月11日のディナー ~ 椿お姉様のLAの帰国日の1月15日のランチまで、椿お姉様にマナー講座も開いて頂いた。
椿お姉様が帰国する頃には、“綺麗に食事出来る様に成った‼”と、仰って頂けた。
途中、予期せぬ事に成り、椿お姉様のマナー講座を受けれなかった日も有ったのだが…。
椿お姉様には、何から何までお世話に成り、本当に、私は、幸せ者だと思った。
<司side>
俺は、つくしに何も言わず、日本に帰国した。
NY本社の俺に課せられたプロジェクトの進歩状況は、西田に任せた。
そして、俺は、俺にとって、最大に大切で、難関な女の下に降り立った。
姉貴からは、呆れられて、一言、嫌味を言われた。
「司ぁ~、やっぱり、帰国して帰って来たのね⁉
何と無くは、分かってたけど…。」
つくしからは、第一声、西田を心配する様な発言をされた。
「司、如何したの?」
「お前の成人式だろ。
NYで、じっとしてられっかよ⁉
だから、休みを捥ぎ取って来た。」
「西田さんを、脅したの間違いじゃなくて…⁉」
お前、良くもまあ、婚約者を疑う様な発言が出来るな⁉
ある意味、尊敬するわ‼
「違ぇよ‼
ババアの許しも得て、帰国してるっつーの‼」
「ほんとに…⁉」
何だよ、其の疑いの眼差しは…⁉
失礼極まりねぇだろ⁉
いい加減にしろ‼
「そう思うなら、ババアに聞けよ⁉」
「まあ、分かった‼」
何だよ、それ⁉
“じゃあ、始めっから、俺を信用しろよ‼”って、言って遣りたく成った。
言わなかったけど…。
で、俺は、姉ちゃんから、つくしを拉致って、俺の部屋に連れて行った。
タマが、呆れ顔で、俺を見て居るのが分かったが…。
俺は、それ処じゃねぇ…。
俺は、“つくしを堪能しなきゃあ、何ねぇんだよ‼”と、心の中で、叫んで於いた。
つくしは、俺の部屋に入るなり、俺に悪態を付いてきやがる。
「あのさあ、私、椿お姉様に何の挨拶も無しで、部屋に拉致られてるって…。
如何なのよ‼」
「うるせぇ~な‼
お前は、俺と一緒に居たくねぇのかよ⁉」
「そんな事を言ってるんじゃなくて…。
礼儀でしょ⁉」
「うっせぇ‼
俺の遣る事に一々、文句言うな‼
「………」
つくしは、俺の般若の様な顔付きに何も言い返せねぇ様子だった。
「俺が、日本に帰って来た事が嬉しくねぇのかよ⁉」
「嬉しいに決まってるじゃん‼」
「じゃあ、何で、そんなに反発ばっかすんだよ⁉」
「反発じゃなくて…⁉」
こいつのその言い方に、俺は、何故か苛付いていた。
俺は、実は、何故、苛付いているかも…。
自分自身(俺自身)でも、分かって居なかった。
「そんなに、姉ちゃんが大切で、俺は如何でも良いのかよ?」
「如何でも良い訳無いじゃん‼
でも、椿お姉様も大切でしょ⁉
私のお姉様に成って下さる方、何だよ。
大切に思って、何で、悪いの?」
「………」
その言葉に、何も言い返せなかった俺だった。
だが、こいつが…。
俺は、こいつの為に、日本に帰国して遣ったのに…。
俺の帰国にも、嬉しそうに見えねぇこいつの顔付きに、俺自身、腹を立てていた事を、後で、漸く理解出来た。
如何も、俺は、姉ちゃんに『ヤキモチ』を焼いていたみたいだった。
後で、タマに言われて、やっと、納得出来た。
だが、俺は、つくしには、謝る事が出来ずに居た。
情けねぇとは思うが…。
例え、その相手が、姉ちゃんだったとしても、つくしには、いつも俺の方を向いて居て欲しいし…。
いつも、俺だけを見て居て欲しいと思う。
つくしの頭の中を、俺だけの事で、一杯にしてぇと思う。
それは、俺の我儘なのか…?
俺は、つくしの前で、拗ねて・いじけて・不貞腐れて遣った。
そんな俺の態度に、つくしは、慌てて居る様子だった。