やっぱり、私は…<総優> 32.
<優紀side>
今日も、総二郎さんが迎えに来るのよね?
如何しよう?
そして、総二郎さんが、今日は、愛車で迎えに来てくれた。
「優紀、お待たせ‼」
そう言って、私の肩に腕を回して、総二郎さんに私は肩を抱かれた状態で、エスコートされていた。
勿論、周りから、悲鳴に近い声が、轟いて居た。
「きゃーきゃー。」
総二郎さんに言っても、気にして居る様子が無い。
私は気にするのよね‼
ほんと、いい加減にして欲しい…‼
でも、そんな事を言って居ても、総二郎さんに愛されている実感が有るから…。
許せてしまうんだよね。
そんな私は…?
やっぱり、私は…。
総二郎さんが好きなんだよね。
そして、総二郎さんと私は、総二郎さんが、大学まで迎えに来てくれた後、ディナーに行ったり、映画を見に行ったりして、過ごした。
その後、お決まりのコースに成り掛けたので…。
私は、西門邸に帰りたいと、総二郎さんに伝えた。
西門邸に着いた時、21時頃に成って居たのだが、家元夫人に呼び止められた。
「優紀さん、お帰りなさい。
ちょっと良いかしら?」
で、“私だけ…。”と、仰っていた私は、家元夫人に就いて行った。
しかし、私の背後から総二郎さんは、しっかり、就いて来て居た。
部屋に入るや否や、席に就いて直ぐ、家元夫人から、話しが有った。
<総二郎side>
お袋から、例の話しが飛び出してきた。
そう言う話しに成る事が分かってんのに、優紀だけ、お袋の所に行かせるかよ?
俺は、どしんっと、優紀の隣に、胡坐の状態で、不貞腐れて座って遣った。
「優紀さん、私(わたくし)を師事為さる覚悟は出来たのかしら?」
「えっ??」
やっぱりな、こう来たか?
「お袋、何を言い出すんだよ?」
「あら、優紀さんは、将来の次期家元夫人に成るんでしょ?
そのおつもりじゃなくて、総二郎?」
お袋は、何に焦ってんだ?
まさか、俺が、将来、優紀に振られるとでも思ってんじゃねぇだろうな?
「そのつもりだ‼」
「じゃあ、私(わたくし)に就いて居た方が宜しいんじゃなくて…⁉
ね、優紀さんっ‼」
「………、はい‼」
優紀は慌てて、応えていた。
「ほら、優紀さんもそう仰っているのよ?
決まりね‼」
お袋は、俺の顔を見ながら、不敵な笑みを浮かべていた。
怖ぇ~。
「そうと決まれば、優紀さんは、内弟子として、これからも、住まいは、西門邸だから。
松岡のご両親にも、了承は得てるのよ‼
其れと、お部屋ですけど…。」
俺は、お袋の言葉に、慌てて被せる様に言って遣った。
「今までは、別々だっただろ?
今日から、優紀の部屋は、俺の部屋‼
もう、内弟子で決定なんだろ?
じゃあ、決まりだから…な。」
お袋は、呆れた様に、俺に言って来た。
「粗相の無い様にしなさい。
今までからも、隠れて、総二郎のお部屋に優紀さんを連れて行ってたでしょ?
一応、まだ、この邸には高校生の弟が、居るんですから…ね。
弁えて頂戴‼
宜しくて、総二郎?」
お袋が、了承したという事は、親父も了承したって事だよな?
優紀は、顔を真っ赤にしてるけど…。
ほんと、何時まで経っても、初心だよな‼
まあ、それが可愛い所だけど…な。
これで、大手振って、優紀を『婚約者』と、言える日も近いって事だよな?
其れまで、俺は、地盤固めをしっかりしなくてはな‼
優紀が、後ろ指を刺されなくても良い様に…。
その日が来る事が楽しみで仕方ない俺だった。
そして、それから、2年後、優紀の大学卒業を機に、俺と優紀は、正式に婚約したのだった。
fin