従兄妹物語…<つかつく>・<総優> 6.
総二郎は父親で有る家元に呼び出された。
「総二郎、今日、つくしが怖い目に合ったらしいな‼」
「………」
何で、もう、親父の耳に入ってんだよ。
“あの場合は、仕方なかったんだよ。”と、言えたら、どんなに良いか⤵。
それに、手短に、厄介者が増えてんだよ。
親父は俺の苦労も分からねぇ癖に、“いい加減にしてくれ‼” と、総二郎は言いたかったので有る。
可愛い妹分だからこそ助けもするが、そうじゃ無けりゃあ、こんな面倒くさい事、何でしなきゃあ成んねぇんだ。
「何とか間に合ったんだから、許せよぅ‼
見えねぇ所で起こってしまうと、見付けるのも大変なんだよ⤵。
取り敢えず、あいつ等にも協力を頼んだから、これからは注意するよ‼」
親父から、それ程、お咎めなく済んだ。
「分かった。
私からも頼んで於こう。
つくしの事は頼んだぞ、総二郎‼」
「了解‼」
家元と家元夫人との間の実子には娘が居ない。
家元は、家元夫人もそうだが、姪御では有るのだが娘同然、可愛いくて仕方ないのだ。
(進にも呼ばせてはいるのだが)その為に、『お父さん、お母さん』と、つくしの幼少期の頃から呼ばせているくらいなのだ。
学園内の事は、総二郎に頼むより他ないのが実情なのだ。
だからこそ、家元にとって実子で有る筈の息子の総二郎にも厳しい事を言ってしまうのだ。
総二郎もその事は理解しているので、黙っているという感じか…。
今や、西門家はつくしの為に、廻っていると言っても過言では無いのだ。
蚊帳の外で見ているのは、つくしの弟の進とつくしの従姉弟の巧三(たくみ)だけだった。
「ほんと、姉ちゃんに何か有ると、直ぐ、西門家は大騒ぎになるよな⤵。」
「まあ、それが、今の西門家だから、仕方無いんじゃないの?」
巧三(たくみ)の態度に怪訝に成る進で有った。
「偉く平然としてるよな、巧三(たくみ)?」
「だって、仕方無いだろ?
姉ちゃんは紅一点なんだから…さ。」
「まあ、そうとも言うか…⤵。」
進と巧三(たくみ)は同時に思いっ切り、溜息を付いていた。
「「はぁ~⤵。」」
先が思い遣られると感じていた進と巧三(たくみ)で有った。