従兄妹物語…<つかつく>・<総優> 8.
家元夫人は偶然、通り掛かった際、使用人頭のかよが、息子の祥一朗とTELで話ししている所に遭遇していた。
陰に隠れてTELの話しの内容を聞いていた家元夫人だが、かよがTELの音量を上げて話しをしていた為、話ししている内容が丸聞こえで、話しを聞いていた家元夫人は、何やら思い付いた事が有り、TELで話し終えたかよを呼び止め、提案をかよに持ち掛けた。
かよは驚愕したが、その提案を、結局、受け入れた。
「かよさん、その、祥一朗の知り合いのお嬢さん、私(わたくし)に預けて下さらな
い?」
「………」
家元夫人が何か良かぬ事を企んでるやも知れないと思い、かよは答えられずにいた。
「かよさん、私(わたくし)に預けて下さったら、悪いようには致しませんわ。
つくしは、茶道が好きではないでしょ⤵。
私(わたくし)が教えても、一向に上手く成らないの⤵。
多分、張り合いが無いからだと思うの。
如何かしら?
祥一朗に尋ねて下さらない?」
かよは家元夫人を信用してみようと思った。
「承知しました。
祥一朗様にお尋ねしてみましょう。」
その後、幾日か経って、かよは、祥一朗に連絡が付き、家元夫人の提案を話しして聞かせ、祥一朗の了承を得る事が出来た。
その事を家元夫人に話しして、了承を得れた事を報告した。
「ところで、その祥一朗のお知り合いのお嬢さんって、何方のお嬢さんなの?」
まだ、家元夫人に伝えていなかった事を詫びたかよだった。
「申し訳ございません、まだ、お伝えしておりませんでしたね。
何でも、松岡総合病院のお嬢さんだそうです。
松岡総合病院のお嬢さんはお二人居らして、下のお嬢さんらしいですよ。
まだ、高校生らしいです。
お名前を『松岡優紀』さんと、仰るそうです。」
家元夫人は年甲斐もなく、燥いでいた。
「まあ、そうなのね⤴。
『松岡総合病院』と、言えば、実家の父の主治医の先生の病院だわ。
父の主治医は院長先生なの。
じゃあ、院長先生のお嬢さんって事よね。
やっぱり、縁が有るのよね⤴。」
家元夫人は嬉しそうであった。
あの日から、半年が経った。
つくしと優紀は家元夫人のお稽古を受け、優紀はメキメキと上達し、つくしの持っているお免除より、上のお免除を優紀は取得している程だった。
家元夫人は、私(わたくし)の目には間違いは無かったと思える程、優紀を気に入ったので有る。
密かに、総二郎の結婚相手にと考える程で有った。
また、この半年の間に、つくしと優紀は仲良く成り、名前で呼び合う仲に成り、親友と言っても過言ではない程と成ったので有った。