垣間見えた…(もしも類とつくしが兄妹だったら…(家族編・短編))<つかつく> 後編
<オリキャラが出て来ます。 同じお名前の方にはお詫びします。>
私は、道明寺家の専属のヘアメイク…“道子”と、申します。
今日は、パーティーの為、道明寺家より、“メープルに来るように…。”と、呼ばれたのだ。
今日のヘアメイクは、つくし様だけではなく、お嬢様で有られる大学生に成られた蘭様とすみれ様のヘアメイクも言付かっていた。
蘭様とすみれ様は幼少の頃は、お父様の司様、または、司様の御両親で有られるお爺様の 保様とお祖母様の楓様のお供で良くパーティーにもご出席為さっていた。
何時の頃からで有ろうか、ご出席を拒む様になり、何時しかご出席は遠退いていたように思えた。
最近はお会いする事も無くなっていたが、幼少の頃のお二方は、つくし様同様、とても愛想がよく、何時も笑顔で、挨拶もお礼もきちんと言えて、人様に不快を与えないお嬢様でいらして、とても好感が持てた。
今日、久し振りにお会いした大学生の蘭様とすみれ様は、大人の女性にご成長為され、見違えてしまうかと思う程だった。
やはり、『気品さ』は、道明寺家のDMAを受け継ぐお二方なのだと思わずにはいられなかった。
蘭様は、司様そのものでそっくりでいらっしゃったが、すみれ様はつくし様の要素を蓄えた可愛らしさの残るお顔立ちで有った。
蘭様は、今日のパーティーの意図をご存知ないようで、司様より、“出席するように。”と、無理矢理、出席になったそうだ。
意図が分からず、かなりご立腹の様で有った。
ヘアメイクの私よりお伝えする事も出来ず、如何したら良いものかと思案している処に、蘭様より声を掛けられた。
「道子さんはどう思います?
娘がパーティーの意図を聞かされないで出席って、如何だと思います?」
「………、私は何も申し上げられませんが…。」
「やっぱり、そうですよね…。
何か、負に堕ちなくて…。」
「お父様にはお父様のお考えもお有りでしょうから、大丈夫かと思いますが…。
ご指示に従われては如何でしょうか?」
「道子さんがそう仰ってくれるなら、そうしてみますね。
私の話を聞いて下さって、有難うございました!」
何時もそうなんだ、必ず、お礼を私にも言って下さる。
ほんと、つくし様の躾の行き届いたお嬢様方で有る。
本当に、何時も思う、この仕事をして居ると…。
人となりが、『垣間見えてしまう』のだと…。
今日のパーティーは実は、蘭様のお父様の司様と、蘭様とお付き合いをされている優一郎様のお父様の西門総二郎様が主催者のパーティーだったのだ。
蘭様と優一郎様は大学生に成られてから、両家よりお断りをされても、お見合いのお話しが絶えず、お困りだったようだ。
そこで、両家の相談、了承の下、お二方をパーティーの席で、お付き合いをしている婚約者で有ると発表されるそうだ。
つくし様も困惑されていた様だった。
「優君(優一郎様の呼び名)と蘭に前以て伝えて上げればややこしくないのにね。
司は蘭が逃げると思っているのよ。
私の娘(こ)だから、有り得るって、どう思います?」
「………(苦笑)」
苦笑い以外答えようがなかった。
父親と言うのは、娘が何時までも可愛いものらしいですよ、つくし様。
今日も道明寺家の人となりが、『垣間見れた』、一日でした。