従兄妹物語…<つかつく>・<総優> 12.
つくしは総二郎に押し切られる形で司の誕生日パーティーに出席していた。
その時、道明寺家に60年使用人として仕え、現在は使用人頭をしているという老婆 タマに声を掛けられた。
「あんただね、司坊っちゃんの想い人は…?」
つくしは驚愕して、首を捻っていた。
「えっ??
如何言う意味でしょうか?」
タマは、聞いている通りだと、感心し切りだった。
「はぁ~⤵。
成程、相当、鈍感だね⤵。」
タマは小さい声で言っていた。
つくしは聞き取れなかった為、聞き直した。
「えっ?
何と仰いました?」
タマは、この娘(こ)なら…と、思ったのであった。
「まあ、良いよ⤴。
司坊っちゃんを見捨てないでやっとくれよ⤴。」
つくしは首を捻るしかなかった。
「えっ??
私が…ですか?」
何を今更と思いながら、言っているタマで有った。
「そうだよ⤴。
司坊っちゃんは幼少期からずーっと一人、寂しい思いをして来られて、暴君だったの
に…⤵。
お嬢様に会ってから、何か毎日が楽しいらしくてね。
表情が柔らかく成ったんだよ⤴。
お陰で道明寺邸は毎日が平和だよ⤴。」
つくしは、溜息しか出なかった。
「はぁ~⤵。
そんなに違うんですか?」
「違うってもんじゃないよ‼
『天と地』程、違うんだよ‼」
「………」
つくしは言葉に成らなかった。
「司坊っちゃんがお嬢様に捨てられでもしたら…⤵。
また、司坊っちゃんは『元の木阿弥』だよ⤵。」
タマは擦り手で拝むような仕草をしながら、つくしにお願いしていた。
「頼むから、司坊っちゃんを見捨てないでやっとくれ‼」
“もう、脅しじゃん。”と、つくしは心の中で叫んでいた。
「それって、脅しですか?」
「そう取りたいなら、そう取ってくれても構わない⤴。
道明寺家の未来の為だから…ね。
司坊っちゃんが初めて、女性を好きに成ったんだ⤴。
応援しない筈無いだろ?
それと言って於くけど、司坊っちゃんの事は、当主の司坊っちゃんのお父上とお母上
は、もう既に知っているよ⤴。
今日、お嬢様に会える事を楽しみにしてらしているよ。
お嬢様のお父上とお母上にもお話しは入っている筈だよ⤴。
勿論、西門家にも…ね。
もう、お嬢様は周りに固められているんだよ。
道明寺家からは逃げられないよ。
観念しなよ‼」
「………」
つくしは、『万事休す』だと悟っていたので有った。
「はぁ~⤵。」←つくしの心の声…。
溜息ともいう⤵。
逃げられないと悟った時、背後から声を掛けられた。
後ろを振り向いたつくしは驚愕していた。
つくし、万事休す…⤵⤵。