bad love…<つかつく> 3.
ある日、つくしは父親で在る大河原社長より、社長の執務室に呼ばれた。
つくしだけが呼ばれたので在るが、滋も付いて来た。
【コンコン】…つくしは、社長の執務室の扉をノックした。
「社長、つくしです。」
「入りなさい。」
つくしの後ろから滋も入って来た事に、父親で在る社長は戸惑った。
「社長、お呼びでしょうか?」
「何故、滋まで着いて来ているんだ?
呼んだのは、つくしだけだろ?」
「あら、パパ、私は、必要ないって事?」
「そんな事は言ってない。
今日、呼んだ理由は、つくしへの話だからだ。」
「って、事は、私に聞かれたら拙い話しって事?」
「そうも言ってない。
まあ、取り敢えず、座りなさい。」
大河原社長は、滋が、司を毛嫌いして居る事を承知していたので、内心、“拙いな‼”と、思っていた。
社長は、何れにしても、『滋には後々、バレる事だろうから』と、思い、滋が一緒に居ても、つくしに本題を話しし出した。
「つくし、道明寺家より、見合いの話しが入って来た。
受けるか受けないかはつくしが判断しなさい。」
「ちょっと、パパ、如何言う事よ‼
道明寺家って、道明寺司とのお見合いって事よね?
私がダメなら、今度は妹のつくしって訳?
如何いう神経してるのよ、道明寺家って…?」
「………」
つくしは、答えられないでいた。
滋は尚も話しを続けた。
「つくし、お見合いはお断りしな‼
あんな男の為に、一生を台無しにする必要は無いわよ‼」
「お姉様、如何いう意味?」
「道明寺司って、男はね、『暴君・横柄・自己中』って、言われてるの。
それに、世間では、『暴れ馬』と評されてるの。」
つくしは、“それって、お姉様にも言える事よね?”と、思ったが、口を慎んでいた。
其処に、進が、執務室に入って来た。
「姉ちゃん、止めときなよ‼
そんな男だったら、苦労するのが目に見えてるよ‼」
「でしょ。
進も分かってるね‼」
進は言ってはいけない言葉を口にしていた様子だった。
「姉さんの言っている事は、姉さんにも言える事だけどね。」
思わず、つくしが、進に声を掛けた。
「進っ‼」
進は滋の歪んだ顔を見て、思わず叫んでいた。
「あっ‼」
社長はその『姉妹弟』の会話を聞いて居て、急に笑い出した。
「あははははは‼」
滋・つくし・進は驚愕した顔で、父親を見ていた。
「進も言える様に成ってきたじゃないか。
良い現象だよ。
もう、本当の『姉妹弟』だな。
今までは、遠慮がちだったからな。
確かに、滋も世間では、『女・暴れ馬』と、評されていたからな。
まあ、今は、つくしのお陰で更生したがな。
道明寺家でも、司君を更生して欲しいんじゃないかと思うんだがな。」
滋は、尚も反論していた。
当の本人のつくしは、じーっと、様子を窺っていた。
「だからって、可笑しいんじゃない?
つくしは、大河原家の娘よ‼
自分の息子なら、道明寺家で何とかするべきよ‼
つくしは、『更生請負人』じゃないのよ(怒)‼」
滋の怒りは収まる事を知らなかった。