忘れ欠けていた…<総優> 19.
F4&T4会で集まる日、優紀を幼稚園に迎えに行って居た総二郎は、延長保育で子供を預けていたらしい更と偶然、幼稚園近くで会ってしまった。
「二郎、此処の所、幼稚園に来てるらしいじゃん。
優紀ちゃんの事、諦めて無かったの?」
総二郎は、“はっ”と、していた。
更に言って於く事を忘れていたのだ。
「否、優紀と、付き合う事に成ったんだ‼」
更は、有りっ丈の声で、叫んでいた。
「はぁ~??」
総二郎は、耳を塞いでいた。
「うるせぇ~よ、更‼」
「これが、黙ってられる?
何で、言ってくれないの?
こんな、嬉しい事はないでしょ?
優紀ちゃんが折れたって事だよね?」
息継ぎ無しに質問される事に、驚愕するしかなかった総二郎だった。
「そうだよ。
優紀が、根負けしてくれたんだよ‼」
「そう、良かったじゃん‼」
「まあなぁ~‼」
「おめでとう‼」
「サンキュ‼
更のお陰かも…な‼」
「私に一生、感謝して為さい、二郎‼」
総二郎は、幼馴染が更で良かったと、心の底から思って居た。
そして、更は、幼稚園に娘を迎えに行く為、幼稚園に入って行き、娘と一緒に帰って行った。
其れから、少ししたら、優紀が、出て来た。
そして、総二郎は、優紀をエスコートして、総二郎と優紀は総二郎の愛車に一緒に乗り、更に会って、更に話しした事を伝えた。
「そう、更先輩に話ししたんだ⁉」
総二郎は、更に伝えた事が、拙かったのかと不安に成り、優紀に尋ねていた。
「更に言った事、ダメだったのか?」
「ううん、そうじゃないけど…ね。
一応、更先輩とは、今は、保護者と幼稚園教諭という、関係だからね。
今は、先輩・後輩の間柄では付き合えないのよね。」
「でも、更は、スゲェ、喜んでたぞ‼」
「うん、有難いね。
まだ、更先輩は先輩なんだろうね。」
「ああ、そう何だろうな。
俺にとっても、幼馴染だしな。」
「うん。」
それ以上は、優紀は何も言わなくなった。
優紀は、何と無く、更に申し訳ないという気分に成って居たのだった。
優紀自身、何故、そんな気分に成るのかは、分からなかった。
未だに、優紀の心の中には、高校生の頃の3人(総二郎・優紀・更)の気持ちが交差しているのか?
其れとも、優紀の心の中には、未だに、高校生の頃の出来事が、蟠りとして残っているのか?
優紀自身にも何とも言えない気持ちが、優紀の心を占拠していたのだった。
そして、F4&T4会の有る、メープルのラウンジのVIPルームに着いた。
総二郎は、再度、F3&T3に詫びを入れた。
そして、今日は、心置きなく、皆、物思いに過ごしていた。
そして、総二郎は、アルコールをかなり摂取して、酔っ払った振りをして、“運転出来ねぇ。”って、理由を優紀に伝えて、メープルで泊まる事に成った。
初めから、総二郎はそのつもりで居たので、部屋を取っていた。
F3は、そんな事は、見透かしていたのだが、優紀は、総二郎の身体を気遣っていた。
「大丈夫ですか、西門さん?」
「ああ、大丈夫だ。
優紀、部屋に連れて行ってくれるか?
鍵を持って来てもらうから…。」
「はい、大丈夫ですよ。」
F3は、優紀が総二郎に嵌められて居る事を不憫に思って居た。
特に、従兄妹の類は、総二郎に呆れていた。
一方の優紀は、総二郎の餌食に成るとも知らずに、健気に、総二郎を介抱していた。
部屋に入って来た支配人から鍵を受け取った総二郎は、F3&T3へ詫びの言葉を掛けていた。
「悪ぃ、俺と優紀は、部屋に行くわ‼」
F3は、“良く遣るよ‼”と、思いながらも、総二郎に答えていた。
「「ああ。」」
「分かった。」
類は、従兄妹の優紀が不憫で、複雑な気分で居たのだった。
その後、総二郎と一緒に部屋に入った優紀は、総二郎が、酔っ払いの演技をしていた事を初めて理解した。
もう、遅いので有ったのだが…⤵。
優紀は、思っていたのであった。
“いい加減にして下さ~い。
もう、二度と、騙されませんから~。”と…。
優紀には、優紀を巧に操る事の出来る総二郎を振り切る事は出来る筈無いのだが…。
“優紀(さん)、観念した方が楽だ(です)よ‼”と、思うつくしと桜子だった。