人間恐怖症…<つかつく> 101.
司は、ドアの向こうから聞こえて来る、久し振りに聞いた美桜の声に、高鳴る胸を抑える事が出来ないまま…。
美桜と潤の部屋のドアを開けて、部屋の中に入ったのだった。
其の時の司は、唯、美桜だけを見詰めて…。
美桜に目掛けて、一直線に、足を運んで居たのだった。
そして、美桜が座っているリビングのソファに到着した司は、美桜の横に座り…。
そして、美桜の腕を、自身に、引き寄せて、司は、美桜を抱き締めたのだった。
司は、美桜を取り戻す処か?
美桜を抱き締める事も…。
美桜にkissする事も、もう、出来ないと思って居たのだった。
だが、今、美桜は、司の腕の中に居るのだ。
司は、自身の腕の中で、抱き締めている美桜の肩に顔を埋め乍ら…。
必死で、美桜に、詫びを入れて居たのだった。
「美桜…。
済まねぇ…。
本当に、済まねぇ…。」と…。
此の時だったのだ。
美桜は、漸く、司に、声を掛けたのだった。
未だ、美桜は、司を抱き締め返して居なかったのだが…。
「司さん…。
本当に…。
悪いと思って居るんですか?」と…。
其の時の司は、そんな風に言って来る美桜に、即答して居たのだった。
「ああ。
美桜を傷付けた事は、俺の落ち度だ。
許してくれ‼
美桜…。」と…。
そう詫びを言った司は、自身の顔を上げて、美桜の顔を、チラッと、観たのだった。
上目遣いに観て来る美桜に、司は、直視出来なかったのだ。
“未だ、美桜は、怒っているんじゃねぇか?”と、危惧する司だったのだ。
何故なら…。
美桜は、未だ、司の背中に、自身の腕を回さず…。
美桜の腕は、『だら~ん』と、下がっている状態だったからなのだ。
此の時の司は、思うのだった。
“美桜が、俺を、抱き締め返して来ねぇ時点で…。
美桜は、まだ、怒って居るんだろうな。
美桜が、俺と会おうと思ったのは、きっと、姉ちゃんに説得されたから…だよな。
俺と会え無かった事で、俺が、恋しかったので在れば…。
きっと、俺に、しがみ付くよな。”と…。
其れでも、司にして視れば…。
“美桜に、許して欲しい。”と、いう思いが本音なのだ。
だからこそ、此の時の司は、必死だったのだ。
其の時だったのだ。
美桜は、司に、訊き始めるのだった。
其れは、椿から、懇願されたからだったのだ。
『美桜ちゃんの今の想いを、司に、ぶつけて遣って…。』
美桜は、椿から言われた事で、自身の今の想いを司にぶつける事にしたのだった。
「司さんは、意識して、お話しして居らっしゃったのかは…。
私には、分からないんですが…。
司さんが、私の過去で在る 『牧野つくし』の事を話す時は、何時も、『お前』と、お話
しして…。
現在の私の事をお話しする時は、『美桜』と、分けて、仰って居たんです。
私は、司さんが、私の過去で在る 『牧野つくし』の事を話す時…。
『お前』と、話しして居る姿を見る度に…。
実は、辛かったんです。
其れは、司さんにとって、私の過去で在る 『牧野つくし』が、どれだけ、近くて…。
どれだけ、大切だったのかを、目の当たりにし無くては成らなかったからです。
“司さんにとっての私は、私の過去で在る 『牧野つくし』の身代わりに過ぎ無いんじゃ
無いか?”と…。
何度も、思いました。
本当に、苦しかったんです。」と…。
其の時だったのだ。
美桜の肩に、また、顔を埋めていた司は、がばっと、顔を上げて、美桜に、懇願し始めたのだった。
「美桜…。
其れは、誤解だ‼
勿論、俺にとって…。
『牧野』は、無くては成らねぇ存在だ。
其れは、否めねぇ。
高等部に通って居た頃の俺にとって…。
牧野は、全てだった。
生き甲斐だった。
牧野失くしては居られねぇ程だった。
俺が、3年で、牧野は、2年の頃に、俺と牧野は知り合った。
俺が、NYに渡米する迄の1年にも満たない其の間…。
俺は、牧野を傷付けてばかり居た。
俺の母親の妨害を受けて居た事が、最大の理由だったんだけど…な。
其れでも、俺は、牧野を俺から解放して遣る事が出来なかった。
だが、結局…。
事件に遭遇した事で、俺は、『牧野』を失う形に成った。
記憶を取り戻した時の俺は、後悔した。
実は…な。
牧野と知り合うまでの俺は、最低な男だった。
其の俺を、真っ当な男にしてくれたのが、『牧野』だった。
正義感が強くて…。
正論ばかり言って来る。
其れに、誰にも、媚びねぇ。
牧野は、『男』が、傍に居なくても、一人で生きて行ける強さを持った女だった。
何でも、自分自身で、切り開いて行ける様な女だった。
其れに、俺とは、“対等で居てぇ(たい)‼”と、いう様な女だったんだ。
其の当時の俺にとっては、『牧野』の様な女が必要だったんだと思う。
けど…。
今の俺は、そうじゃねぇ。
俺も、ちゃんと、働いてる。
『一国の主』じゃねぇが…。
日本支社長として、トップに君臨して居る。
もう、高等部の頃の俺じゃねぇんだ。
今の俺には、美桜の様に、俺に、頼ってくれて…。
俺を必要としてくれる女が必要…何だ。
其れが、今の俺の生き甲斐に成ってんだ。」と…。
だが、美桜は、更に、司に、追求したのだった。
「じゃあ…。
私が、過去を失わず…。
今でも、私の過去で在る 『牧野つくし』のままだったら…。
司さんと『牧野つくし』は、お別れして居たかも知れないって事ですか?」と…。
其れに関しても、司は、即答したのだった。
「其れは、分かんねぇ。
けど…。
お互い、大人に成ってんだろ。
お互いが、必要として居れば…。
お互いが、変われたと思う。
幾ら、頑固で、融通の利かねぇ女でも…な。」と…。
其の時だったのだ。
美桜は、クスッと、笑ったのだった。
美桜の其の笑い方に、司は、不機嫌に成ったのだった。
「何だよ⁉」と…。
そんな司の様子に、美桜は、話しし始めるのだった。
「本当に、司さんにとって…。
私の過去で在る 『牧野つくし』は、大切な女性だったんですね。
私の過去は、きっと、幸せだったんでしょうね。
こんなに、司さんから、愛されて…。」と…。
其の時だったのだ。
司は、美桜の腕を取って、立たせたのだ。
そして、強引に、ベットルームに連れて行くのだった。
司は、そんな風に言って来た美桜に、怒って居たのだ。
だからだったのだろう。
司は、其の時の気持ちのまま…。
美桜に、言って除けるのだった。
「美桜…。
いい加減にしろ‼
今、俺が、愛して居るのは、『美桜』だ‼
良いか?
美桜…。
今の俺には、美桜が、必要…何だ。
今の俺にとって…。
俺の傍に居て欲しいのは、『美桜』何だ‼
もう、此れからは、過去の事は、言うな‼」と…。
だが、美桜も、そんな司に、応戦するのだった。
「でも、司さんは、私のせいで、私の過去を、封印し様として居るんですよね?
司さんにとって、『牧野つくし』との過去は、大切な思い出だというのに…。」
此の時の司は、美桜の態度で、開き直って居たのだった。
此処に来るまでの司は、“美桜に、優しくして遣りてぇ‼”と、思って居たのだ。
だが、“美桜には、話しして於いた方が良いだろう。”と、判断した司は、開き直る事で、自身の心の内を、話しし始めるのだった。
「ああ。
姉ちゃんが、美桜に、何を話ししたか?
俺は、姉ちゃんから聞いてぇから、分かんねぇ。
確かに、俺にとって、『牧野』との思い出は、大切な思い出だ。
だが、俺は、確かに、封印し様としていた。
美桜を傷付ける位ぇなら…。
“封印した方が良い。”と、思って居た。」
だが、美桜は、更に、司に、訊き始めるのだった。
「そんな大切な思い出を、封印し様と思って居たんですか?」
其処で、司は、即答したのだった。
「ああ。
今の俺には、美桜以外…。
大切なモノはねぇよ。
勿論、潤も、俺の息子だ‼
大切に決まってんだが…な。」と…。
此の時の美桜は、漸く、椿の言って居た話しが、呑み込めて居たのだった。
