もしも類とつくしが兄妹だったら…<つかつく> 19.
【花沢つくし 編 19.】
4人会開催の日から、1ケ月後、本当に司がご帰還。
その後、半月後には、ドバイから滋が一時ご帰還となった。
相変わらず、つくしの記憶は戻らぬまま。
お医者様からは、「もう、戻る事は無いかも知れません。」と、言われている。
つくしは別に戻らなくても良いと、思っていた。
だが、司の胸中は穏やかでは無い。
皆の気持ちとしても、このままつくしの記憶が戻らない方が、つくしは幸せなのではないかと思っていた。
司、滋が帰国したのを機に、久し振りに、類を除いた7人で会う事になった。
会議の都合上、つくしは予定の時間より1時間遅れで到着した。
日本に類が居ない花沢物産本社は、つくしのウェートが日増しに高くなっていて、つくしの頑張りで保っているような処もあった。
「つくし~、久し振り~。」
滋がつくしに抱き着て来た。
息が止まりそうな勢いに、つくしは失神仕掛けた。
身構えるのを、すっかり忘れていた。
かなり、ご無沙汰だったので…。
「滋さん、先輩が失神仕掛けていますよ。
先輩を離して下さい。」
桜子は、慌てて、滋をつくしから引き剥がしに掛かった。
「ごめん、久し振りだったから、つい…。」
「ぜぇはぁ、ぜぇはぁ、大丈夫だよ。
すっかり忘れていたわ、滋さんの突進癖。」
滋とは随分ご無沙汰だったので、つくしも桜子も『警戒0』になっていた。
「ここ何年かは、平和でしたもんねぇ。」
「ちょっと、桜子、それどういう意味よ。
私が居たら、平和じゃないみたいじゃない?」
「自覚無しかよ…?」
「ふん。」
滋はそっぽを向いて怒って見せた。
滋がそっぽを向いている間に、既に、話題は変わっていた。
「相変わらず、花沢物産は忙しいみたいだな。」
「お兄様がフランス支社勤務になったから、仕方ないのよ。」
「相変わらずの模範解答振りだな。」
「美作さん、揶揄しないで下さいますぅ~。」
「悪ぃ、悪ぃ。」
「はぁ~⤵。」
思わず、溜息しか出ないつくしであった。