もう、逃げられない…<つかつく> 短編 前編
<つくしside>
私は、牧野つくし 25歳 道明寺HD 秘書課勤務
本来、私は、弁護士に成るべく、大学4年の時、司法試験を受け、現役合格し、1年、司法修習生に成り、弁護士に成る予定で居た。
一応、1年だけ、道明寺HD 法務部に配属と成り、司法修習生を経て、弁護士資格を取得する成り、秘書課に異動する事に成った。
そして、現在は、道明寺司副社長の専属第2秘書(法務関係を任されている)をして居る。
大学時代に秘書検定も取得していたのが、大きかったらしい。
第1秘書は、言わずもがなの西田専務。
私は、西田専務に鍛えられて、今の私が居ると思っている。
プライベートでは、私の彼氏は、ご存知の道明寺司。
実は、私が道明寺HDに入社した切っ掛けは、魔女? もとい 司のお母様の強要? もとい 要望 に寄るものだった。
私が大学4年の司法試験合格時に、お義母様から呼び出された。
「つくしさん、私(わたくし)が貴女を呼び出した理由、もう、お分かりよね?」
「………」
首を捻っていた私にお義母様は言った。
「貴女が鈍感なのは、良~く知っています。
ですが、鈍感過ぎます。
貴女は、将来、上に立つ人間なのですよ‼
お分かり?
いい加減、理解なさい‼」
と、言われても、分からないものは分からない。
そう言われても…。
本当に、お義母様の言葉は、理解不能なのだ。
で、いつの間にか、私は、道明寺HDに入社する事に成っていた。
私には見覚えのない、試験を受けていないにも関わらず、道明寺HDからの内定通知書が届けられていた。
完全なるコネ入社…。
否、もしかして、強要入社?
全く以って、意味の分からない状態だった。
私は、高校生の頃に、お義母様から、徹底的に目の敵にされ、あの手この手で、色々な仕打ちを受け続けた。
それが、司がNY行きを決断してからと言うもの、私に何も言わなくなった。
それに椿お姉様に、言ったそうだ。
「司も4年後は、自分自身の遣るべき事は、分かってるでしょ?
4年後は、司に一任します‼」と…。
椿お姉様曰く…
「母は、素直じゃないでしょ?
つくしちゃんの事、既に認めているのに、素直に、『認めている。』って、言えないの
よ。
本当は、可愛い人なのよ⤴。
つくしちゃん、分かって上げて…‼」
分かっては居るつもりだが、お義母様の余りの変わり様の落差に、驚愕してしまっていた私だった。
それからと、言うもの、私は、道明寺HD主催パーティーだけではなく、パーティーと言えば、司のパートナーは私に成っていた。
また、司の出席の無い日本のパーティーでも、お義母様の秘書として、私は、お義母様にお供していた。
そして、必ず、お義母様は、ご挨拶回りの際、言っているセリフが有る。
「此方、私共 愚息の司の婚約者の『牧野つくし』と、申しますの。
宜しくお願い致しますわ。」
“いつ、私は、婚約者に成ったんだぁ~‼”と、言いたく成る心境だった。
司は司で、恐ろしい事を言い出した。
「何時(いつ)でも、婚約発表、出来るぞ‼」
私は、溜息しか出ない。
「はぁ~⤵。」
で、お義母様から、恐ろしい事を付け加えられた。
「司とつくしさんのお付き合いは何年に成るのかしら?」
「遠距離恋愛も含めると、8年か?」
「そう、じゃあ、つくしさん、お邸で、司と一緒にお住みなさい。」
「………、はぁ~??
今、何と仰いましたぁ?」
つくしは驚愕しかなかった。