慕情そして恋情…<つかつく> 13.
司は、頭を抱えてしまった。
その時だった。
急に、司は、偏頭痛に襲われ、割れる様な頭の痛みが走った。
その時までの司の頭の中は、靄が掛かった様に成っていたのに…。
急に、頭がすっきりし、つくしの記憶が一気に湧き出してきた。
そうなのだ。
その時、司は、つくしの記憶を取り戻したのだった。
司は、頭を上げ、つくしの顔を見て、ニヤッと、笑ったかと思ったら、つくしを抱き締め出した。
「きゃーー、何するのよぅ~‼」
そう言いながら、つくしは司を蹴ろうとした。
しかし、もう少しの所で、司は、つくしの蹴りをかわした。
つくしは、不思議に思った。
司と再会してから、司に蹴りを入れた事等無いつくしだった。
なので、当然、今まで記憶の無い司は、つくしの行動を知る由もない筈だった。
なのに、つくしの蹴りをかわした司…⁉
つくしは司の顔を、じーっと見詰めていた。
つくしは気付いた。
そして、つくしは司に言った。
「道明寺、お帰り‼」
そして、つくしは司にしがみ付いたのだった。
司も気付いてくれた事が嬉しくて、応えた。
「つくし、只今‼」
その光景を待ち望んでいた西田は喜んでいた。
勿論、顔には出さないけれど…。
司が確認して来た。
「つくし、つくしの息子と言うのは、あの時の、あのクルーザーの時の…だよな?」
つくしは、頷く事しか出来なかった。
「って、事は俺の息子(こ)だよな?
つくし、俺の息子は何処に居る?」
「今は、まだ、楓社長とご一緒して頂いて居ると思うけど…?」
司は、今度は、西田の方に向き、指示を出した。
「西田、ババアに連絡して、俺の息子と一緒にマンションで待つ様に言ってくれ‼」
「賜わりました。」
「西田、頼みが有る。
今日は、全て、キャンセルして欲しい。」
「承知しております。」
そう言って、西田は席を外した。
つくしは怒り気味で、司を見た。
司は、つくしの顔付きの変化に戸惑っていた。
「道明寺、いい加減、楓社長の呼び名を、せめて、『お袋』にしたら…?
道明寺には、行き成りで、実感が沸かないだろうけど…。
道明寺は中学生の子供の親なのよ。
その呼び名は、教育上、良くないわ。」
「お前なぁ、俺は記憶が戻ったんだ。
実感が沸き捲りだっつーの‼
しかも、あの、滋に拉致されたクルーザーの時の子供なんだよな⁉
つくし、悪かったな‼
苦労させて…。」
つくしは、嬉しくて、笑いながら、涙を流していた。
司は、つくしの涙を拭いながら、そっと、触れるだけのkissをつくしに施した。
「苦労したとは思ってないけど…。
両親と進が一緒だったから。」
「そうか、お礼を言わなきゃな‼」
つくしは危うく、呼び名の件を有耶無耶にされ掛けて居る事に気付いた。
「で、楓社長の呼び名を変えてよ‼
話しをすり替え様としたでしょ?」
「ああ??
だったら、お前も『道明寺』はねぇよな?
お前が、『司』って、呼ぶって言うなら、俺も、『お袋』って、呼ぶ様にする。
さあ、如何する?」
つくしは、司が話しをすり替えたんじゃなくて、つくしを嵌める為に、態と、話しを逸らしていた事に気付いた。
つくしは、悔しかった。
つくしは…。
“私は、ビジネスの商談相手じゃないっつーの‼
カエルはカエルの子よね。
全くっ⁉”と、思って居た。
「それになぁ、俺は、記憶が戻ったんだ。
お前を手放す気は毛頭ねぇ。
息子も居んだ。
俺等は結婚して、家族に成るぞ‼
だから、何時までも、お前が、俺を『道明寺』と呼ぶ事は、変だろ?
お前も、『道明寺』に成るんだ。
分かったら、『司』って、呼べよ‼」
つくしも、司に要求した。
「じゃあ、『司』も、『お袋』って、呼んで上げてよね⁉」
「了解‼
遣れば、出来るじゃねぇか?」
と、言いながら、司は、もう一度、触れるだけのkissをつくしに施していた。