Xmas=チキンライス【慕情そして恋情】…<つかつく> 番外編①
12月25日…Merry Xmas🎄
<翼side・語り>
俺が保育所に通って居た頃は、母ちゃんは大学生で、学業とバイトの掛け持ちだった事も在り…。
俺は、母ちゃんとは、中々、一緒に居てもらえなかった。
俺の幼い頃は、母ちゃんと遊んだ記憶は、ほぼ無いに等しい。
でも、其れでも、俺は、幸せだったと思う。
兄貴の様に、俺に寄り添ってくれて居た進兄ちゃんが、傍に居たから…。
進兄ちゃんとは、其の当時の幼かった俺が、サンタさんに頼んで於いた『Christmas present』のグローブとボールで、キャッチボールしたり…。
また、次の年の『Xmas』の時に、サンタさんに頼んで於いた『Christmas present』のサッカーボールで、進兄ちゃんと俺とで蹴り合いして遊んでもらったり…。
楽しい事ばかり…だった。
今更乍ら…。
其の当時の牧野家の『エンゲル係数』を、今思えば、牧野家は、貧乏だったんだと思う。
でも、今思えば、其の当時の幼かった俺は、“貧乏って何?”って、感じだったかも知れない。
貧乏でも、“不幸せだ‼”と、其の当時の幼かった俺にも、感じた事が無いから…。
其の当時の幼かった俺が、幼いながらも、“不幸せだ‼”と、感じた事が無い…と、そう思って居た其の当時の俺にとって、楽しみで仕方無かった思い出が在る。
其れは…。
其の当時の母ちゃんは、忙しい合間を見て、『俺の誕生日』と、『Xmas』と、『正月』だけは一日中、俺と一緒に、俺の傍に居てくれた。
其の事は、今でも、俺の思い出の中に閉まって在る。
何時(いつ)だったか?
幼かった俺は、進兄ちゃんから、言われた事が有った。
「翼…。
翼の傍に、何時(いつ)も居ない姉ちゃんを恨むなよ‼
姉ちゃんが、頑張って居るのは、全て、翼の為だから…な。」
其の頃の俺は、首を傾げて、進兄ちゃんに訊いて居たと思う。
「ぼくのため…?」
進兄ちゃんは、微笑んで、俺にも分かる様に、説明してくれていた。
「翼を育てる為に、姉ちゃんは、頑張ってるんだぞ‼
今、バイトを掛け持ちして居る事も…。
将来、弁護士に成る為に、勉強を頑張ってる事も…。
全て、将来の翼の為…何だぞ‼
だから、翼も、男の子なら、姉ちゃんの前で、泣くなよ‼
翼が泣けば、姉ちゃんが、悲しむからな。」
其の頃の俺は、返事し乍ら、進兄ちゃんに頷いて居たと思う。
「うん。
わかった。」
だからだったんだろうな。
今なら、分かるよ。
進兄ちゃんは、其の当時の幼かった頃の俺が寂しがらない様に、時間の空いた時は、何時(いつ)も、俺の傍に居てくれたんだと…。
そんな風に考えて居た時…。
ふと、『Xmas』の時に、母ちゃんが作ってくれた『チキンライス』の事を思い出して居た。
牧野家は、『Xmas』と言えば、母ちゃんが作ってくれた『チキンライス』だった。
『Xmas』と言えば、本来は、『七面鳥』を食べる事を知ったのは、俺が、小学5年生に成ってからだった。
「本来、一般家庭でも、『七面鳥』は、高価だし…。
手に入り辛い…という事から。
一般的には、チキンを食べる様に成ったらしい。」と、担任の先生から教わった。
だが、『チキン』と言っても、うち(牧野家)の様に…。
『チキンライス』では無く、『骨付きチキン』を食べるという事を、其の当時の俺は、初めて知った。
けど、俺は、母ちゃんに、其の話しは、出来なかった。
否、言えなかった。
あの頃の俺は、母ちゃんに言えば、“母ちゃんが悲しむ‼”と、思ったから…。
小学5年生だった俺は、あの幼かった頃に、進兄ちゃんから教えて貰った教えを守ろうと思って居た。
其れに、母ちゃんが作ってくれた『チキンライス』は、世界一、美味しかったから…。
俺は、今でも、そう思って居る。
だから、俺にとっての『Xmas』の思い出と言えば…。
『Xmas』=(母ちゃんが作ってくれた)『チキンライス』だった。
<翼side>
或る日の事だった。
父さんが、学校帰りの俺を呼び出した。
「今直ぐ、俺の執務室に来い‼」
「はぁ~??」
「“来い‼”って、言ってんだから、来いよ‼」
「分かったよ。
行けば良いんでしょ‼」
「ああ、そうだ‼」
俺は、何時(いつ)も、何時(いつ)も、父さんに振り回されている。
だけど、仕方ないから、俺は、行く事にした。
母さんの様子も見たかったし…。
母さんは、現在妊娠中でも、仕事をしているから…ね。
で、道明寺HDに着いた俺は、受付をスルーして(否、顔パスと言うべきか?)、役員専用エレベーターで、父さんと母さんの執務室が在る 高層階に向かった。
何故か、俺は、道明寺HDの社員でも無いのに…。
ゴールドの社員証を持って居る。
ゴールドの社員証は、道明寺家の家族だけが持つ事が出来る。
所謂、父さん曰く…。
『特権階級の証』らしい。
因みに、西田さんも、ゴールドの社員証を持っているらしい。
で、俺は、父さんが、俺を待っているで在ろう 父さんと母さんの執務室が在る 高層階に着き、父さんの執務室に入った。
そして、父さんから言われた言葉に、俺は、驚愕しか無かった。
父さんは、俺を幾つだと思って居るのだろうか?
「翼…。
12月25日は、空けて於けよ‼」
「はぁ~??
態々、其れだけを言う為に、俺を此処(父さんの執務室)に呼んだの?」
父さんは、俺の言葉に、拗ね始めた。
俺は、心の中で、言ってしまって居た。
“父さんって、ガキなの?”と…。
けれど、父さんは、俺に、言って除けて来た。
「お前は、(司、つくし、翼、タマ、西田が住んでいるマンションの司とつくしの部屋の
下の階に在る 翼の)部屋に入ったら、全く、出て来ねぇだろ?
其れに、携帯鳴らしても、“面倒臭い‼”って、言いやがって…。
滅多に、俺とつくしの部屋に来ねぇじゃねぇか?」
今度は、俺が、拗ねて遣った。
「あのね⁉
父さんは、俺の歳…知ってるよね?
俺も、もうすぐしたら、高校生な訳…。
何時までも、親から、自立出来ないのも、如何かと思うけど…?」
だが、父さんは、怒ったかの様に、俺に言って来た。
「兎に角、12月25日は、空けて於け‼」
だから、俺は、面倒臭く成って、相槌の返事だけして於いた。
「はいはい、分かりましたよ‼」
「“はい。”は、1回で良いだろ⁉
つくしに、怒られるぞ‼」
父さんは、俺に反論する事は、忘れて居なかったみたいだった。
其処に、母さんが、父さんの執務室に現れた。
「何~だ…?
翼だったの?
大きな声で、司が、叫んで居る様子だったから…。
何事かと思って来て視たの。
で、何が有ったの?」
母さんは、父さんと俺の様子を見て、俺に訊き出そうとするかの様に、俺の方を向いて、訊いて来た。
父さんは、母さんに見えない様に、首を左右に、振って居るだけだった。
だから、俺は、両腕を頭の上まで上げて、『I don't know.(俺は、知らない。)』の仕草を母さんに向けていた。